4章 次回予告

 一方その頃、サンシュウから離れたヨシュウの街へと向かっていく一団があった。


 一つの幌馬車とそれを護衛する一人の騎馬兵がついている。


「もうすぐでヨシュウに着きます、いま少しの辛抱なので耐えてください」


 先頭を走る騎馬兵が場車内に声をかける。


 兜越しに見えたその顔はまだ若く、また美しい顔をした美丈夫だった。


「問題などありません、本当にヨシュウには頼りになるお方がいるのですか?」


 幌越しに返ってくる質問に美丈夫の若者はニッコリと笑って、


「はい、ヨシュウの次期当主ムラン殿なら必ずや助けになりましょう、スアラ様」


 はっきりと言い切る言葉に馬車内で安堵の声が広がる。


「それは頼もしいですわ、オルド様」


「ええ、とても頼りになる御仁ですよ」


 煌びやかな笑顔を少し曇らせながら彼は後ろを振り向く。


 追っ手は来ていないようだ。 どうかムラン殿、我らをお助けくだされ。 


王国の至宝と血筋を守るために!


 一団は真っ直ぐにヨシュウへと突き進み、やがて宮城が見えてきた。


 ここまでくればもう大丈夫だ。 


 ホッと空を見上げた。


 頭上の空は雲がひとつもない快晴だが遥か向こうの山々では暗雲とした雲が頭上に覆いかぶさっている。


 それがこれからを暗示しているようで彼は唇を噛み締めて馬の手綱を強く握るのだった。

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剣劇(ケ・ン・ゲ・キ!) 中田祐三 @syousetugaki123456

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