蒸留酒と「大脱走」

 以前にも書いたけれど、コロナ療養中にBSプレミアムの番組をよく観ました。

 土曜日の一週間総集編でしか観ていなかった朝ドラ「ちむどんどん」と再放送「芋たこなんきん」すら見始めてしまい、これ以上、ルーティーンを増やしたくない私は、通常営業となる来週、決断を迫られます(笑)


 午前9時から放送していたお酒の特集は、目を見張るもの(案内役だった鈴木保奈美や清水美沙を外しても)がありました。特に、日本酒を広く海外に売り出そうとしている岩手県の酒造会社さんの熱意や、今や、本気になって日本酒を醸造しようと頑張っている外国人が多いことなんかが印象に残りました。


 最終日は、2015年放送のウイスキーの特集でした。

 スコッチウイスキーにはまって約1年経ちますが、ウイスキーの何たるかをよくわかっていなかった私にはちょうど良い番組でした。

 本場のスコットランドの蒸留所のブレンダーが多くの時間、登場して製造の全工程を説明してくれましたが、なにせ、どんな出来栄えのウイスキーになるかは、少なくとも3年以上熟成させた結果でしかわからない、という事実を重く受け止めることになりました。長いものだと10年以上、樽の中で熟成させるわけですから、ウイスキーの製造に携わる人は、未だ見ぬ10年後の人々の趣向、世界の情勢までをも考えて仕事をするわけです。


 もうひとつ、麦汁に酵母を加えてもろみにした後、あの特異な形をした蒸留器で蒸留するわけですが、蒸留したてと蒸留終わりの物は雑味があるので取り除きます(ミドルカットというそうです)。その切り替えるタイミングが絶妙すぎて(素人の見た目ではとても判断できません)、そこに、製造者としてのプロフェッショナルを垣間見ました。


 番組を観ていて思い出したのが映画「大脱走」のワンシーンでした。

 ドイツ軍の捕虜として収容所生活をしていた者の中のスティーブ・マックイーンがこっそり、じゃがいもから酒を造るシーンがあって、蒸留しただけで熟成させていない透明な蒸留酒をそれでも、捕虜の皆がとても美味しそうに吞んでいたな、って。


 先日、BSプレミアムで観た「俺たちに明日はない」もそうですが、ラストのシーンを思うと、どれどれ、とDVDが入った棚に手を出せない私であります。



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