第12話 旅のお守り

 村に戻った三人はあらためて今後の計画を話し合った。


「いつ旅立つにせよジジ様には事情を話しておかないとな」

「ジジ様のことだ、事情を知れば旅立ちを許可してくれとは思うが」

「余計な混乱は避けたいから他の村人には知られない方がいいかもね」

「何をこそこそ話しておるんじゃ」


 三人が慌てて振り向くとそこには長老のゲイルが立っていた。


「そちらのお嬢さんはどちら様かね?」

「あー……ジジ様、この娘はですね」

「わ、私は魔法使いのアーニャと申します」

「わしはこの村の長老ゲイルじゃ。ほほ、アーニャさんとやら、そんなに緊張する必要はない。それで二人共一体何があったのじゃ?」


 三人は魔物発生の原因、そして祠で何が起きたのかその全てをゲイルに話した。

 ゲイルは三人が話している間ただ静かに聞き入っていた。


「それでミレーネを封印する為に旅に出ようと思ってる」

「なるほどのう。事情はあい分かった。村の事はわしに任せてお前達はすぐにでも旅立ちなさい」

「でも良いのかジジ様。もしまた魔物が出たら……」

「構わん。村のことよりも今はルイン、お主自身のことを第一に考えるのじゃ。それにそのミレーネとやらが居なければこれ以上魔物が増えることもあるまいて」

「確かにそうかもしれないわね」

「そうじゃ、二人にはこれを渡しておこう」


 ゲイルはそう言うと綺麗な装飾の施されたバンクルをルインに差し出した。


「これは昔わしが外の世界で魔法使いに貰った物じゃ」

「これ、このバンクルに付いている宝石小さいけれどスフィアよ」

「スフィア、そういえばあの魔法使いもそんなことを言っておったのう」

「ありがとうジジ様」

「それとレイヴにはこれじゃ」


 レイヴに差し出したのは鞘に彫刻が施された短刀だった。


「これは我が家に代々伝わる守りの小刀じゃ。旅のお守りになるだろう。持っていけ」

「ジジ様……」

「生きて帰ってくるのじゃぞ」

「はい、必ずや封印を成し遂げてこの村に帰って来ます!」

「アーニャさん、どうかこの二人のことをよろしくお願いしますじゃ」

「任せて下さい!」

「さあ今日はゆっくり休んで明日の旅立ちに備えなさい」


 旅立ちの前夜、ルインとレイヴはこの旅を必ず成功させるという決意を胸に深い眠りについたのだった。

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