第11話 旅の仲間

 ルインが目を覚ました時、彼の顔を心配そうに覗き込むレイヴとアーニャの顔がまっ先に目に入った。


「お前、ルインだよな?」

「ああ……戻ったぜ。相棒」


 ルインは差し出されたレイヴの手を取り立ち上がる。

 互いの目を見合うと自然と笑みが溢れた。


「もう、こんな時に何を笑ってるのよ」

「すまんすまん。今起きたことがあまりにも現実離れしてたからつい、な」

「それでルイン、今のは一体何だったんだ?」


 ルインは魔人ミレーネのこと、そしてミレーヌとの約束のことを全て話した。

 事の深刻さを改めて実感した二人は、ルインが話し終わった後もしばらく何も話せずにいた。


「封印の旅、か……」

「ああ、俺は明日にでも出発しようと思っている」

「そのミレーネは今もあなたの中に居るのよね」

「そのはずだ。俺の体を完全に乗っ取る為に力を蓄えるつもりらしい。今はまだ何もしてこないが、いつ仕掛けてくるかは分からない」

「どれくらいの猶予があるのかはっきりとは分からない……だったら迷ってる時間はないわね」

「どういうことだ?」

「鈍いわね。私もついて行ってあげるってこと!」


 アーニャの突然の提案にルインとレイヴは内心驚いていた。

 無論アーニャが同行してくれるなら頼りになることは間違いない。


「しかしどうしてそこまでしてくれるんだ」

「事はもうあなた達だけの問題じゃないのよ。それに旅をするにしても何かあてはあるの?」

「……いや、ないな」

「じゃあ決まりね!」

「ひとまず村に戻ろう。それとこのスフィアはどうする?」


 ルインはミレーネの封印されていたスフィアを差し出した。

 アーニャはそれを受け取ると大事そうに鞄にしまった。


「これは私のお師匠様に見せてみるわ。もしかしたら何か分かるかもしれない」

「ああよろしく頼む」


 そう言うと三人は村へ向かって歩きだした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る