第20話 エピローグ

 ──それから5年後。



「夢乃さんよろしいですか?」


「……は、はい! 大丈夫です」


 ノック音と共に係の女性の声がした。


 それに答えた別の女性。


「では、お入りください」


「は、はい。失礼します……わぁ、綺麗……。ゆめ、綺麗だよ」


 係の女性と一緒に男性が部屋へ入ってきた。


「ゆ、幸哉……。似合うね、タキシード……かっこいい」


 女性は入ってきた男性を見るなりそう言った。



 ──本日は夢乃と幸哉の結婚式だ。



「これより川上幸哉、中西夢乃の結婚式を執り行います。新婦入場」


 牧師の声に続きチャペルの扉が開いた。


 そして、代表的な音楽と共に新婦、夢乃と夢乃の父が入場しバージンロードを歩き幸哉の元へ。


「お父さん……今までありがとうね。

 お父さんとバージンロード歩けてよかった……」


 夢乃は父だけに聞こえる声で話した。


「ああ」


 父はぶっきらぼうに答えるもその瞳には涙が浮かんでいた。


 幸哉の元に辿り着くと夢乃の手は父から幸哉へと移動した。



 ***



「それでは誓のキスを」


 牧師の言葉を聞き、幸哉は夢乃のベールを持ち上げた。


 2人の顔には照れくささが滲み出ていた。


 そして、幸哉から夢乃へ触れるだけのキスをしたのだった。


 結婚式は無事終了した。



***



「え! やったー! 」


「彩乃……」


 ブーケトスで花束を手にしたのは──彩乃だった。


 夢乃はまさか妹が取るとは思わなかっただろう。


 一方、彩乃は花束を受け取り隣にいる男性に笑いかけていた。


 彩乃と男性の右手薬指にはお揃いの指輪が付けられていた。




 end




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どんな君も好きだよ 織山青沙 @korotibi23

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