第19話 家族

「……彩乃」


「ど、どうぞ」


 ──彩乃の部屋だった。


 夢乃は部屋へ入るなり彩乃が座るベットの横に腰掛けた。


「……彩乃、ごめんね」


 夢乃は謝ると頭を下げた。


「あ、えっと……」


「前に彩乃聞いたよね……。あたしと幸哉が付き合ってるのかって……」


「うん」


「ちゃんと話すね……。辛いかも、しれないけど聞いてくれる?」


「う、ん……」


 それから夢乃は幸哉があった事故のこと、夢乃が幸哉のこと"友達"と言っていた理由を彩乃へ話した。


「……っ! うっ……。そ、そんなことが……あったなんて、知らなかった……。

 お、お姉ちゃん……辛かったよねっ……! でも記憶、戻ってよかったね……」


 全て聞き終えた彩乃の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。


「うん……彩乃、ありがとう。せっかく幸哉と付き合えたのに……ごめんね」


 夢乃の瞳からも涙が流れていた。


「ううん……。あたしのことはいいのっ!

 幸哉くんと別れるのが悲しくないって言ったら……嘘になるけど。

 それよりも……お姉ちゃんが悲しむ顔は見たくないから……これからも幸哉くんと幸せにね」


「あ、彩乃……。ありがとっ……。彩乃は、あたしの……自慢の妹だよ」


 2人は抱き合いながらしばらく泣いていた。








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