18.スネークヘッド遍歴(前編)

 スネークヘッドの魅力を挙げよと言われてパッと思いつくことは幾つもあるが、中でも一番わかりやすいのはそのカラーバリエーションの豊かさではないだろうか。カラーバリエーションという表現が乱暴なら、種類の多さと言い換えてもいい。


 この文章を書いている時点で、わたしは4種類のスネークヘッドについての飼育経験を有している。


 まずはこれまで散々紹介してきたブルームーンギャラクシースネークヘッドだ。青く色づく全身の鱗と、深みのある青緑色に輝くヒレをもつ美種である。


 ブルームーンギャラクシーはスネークヘッドの中でも一、二を争うほど飼育難易度が高いと言われる。適正水温や気性など他種よりもデリケートだというのがその理由で、初めての個体としてこいつを選んだのは我ながらリスキーではあった。


 ただ、『アクア・デイズ』作中にも反映されているように、わたしは飼育魚選びに関しては妥協すべきでないと考えている。いざ飼ってみて、結局満足できずに後から「本命」を追加する……というのはいかにも不誠実な態度に思えるからだ。


 だから、最初にブルームーンギャラクシーを選んだことに後悔はない。むしろブルームーンギャラクシーを最初に飼育したからこそ、スネークヘッドを飼う醍醐味にハマることができたのだと思っている。


 さて、そんな具合にすっかりスネークヘッドにハマってしまったわたしは、二匹目としてアイスファイヤースネークヘッドを購入した。


 ブルームーンギャラクシーがオールガラス水槽に引っ越ししたので、それまで使っていたフレーム水槽(もとをただせばウーパールーパーのブラックが入っていたやつだ)が空いたのである。そこに新たな生体をお迎えした格好だ。


 もっとも、このアイスファイヤースネークヘッド、結果から言えば長生きさせてやることはできなかった。


 正直、今でも原因がよくわからない。餌食いはブルームーンギャラクシーよりもいいくらいだったし、病気の兆候も一切なかった。調子が悪いとすら感じさせない荒っぽい個体だったのだが、ある朝わたしが目を覚まして水槽を覗いたらどうしてか星になっていた。


 発見したのが水槽のガラス面とヒーターとの隙間だったから、もしかしたら挟まって身動きが取れなくなった(スネークヘッドは空気呼吸する魚なので、水面に出られないと窒息死してしまう)のだろうか? いまいち説得力に欠ける推測だが……。


 何にせよこれで、60cmフレーム水槽では黒ウパとアイスファイヤースネークヘッドが立て続けに落ちたことになる。イヤな流れが生まれつつあった。

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