第33話それから先に進む

親友の二人デート発言に激怒した

二人をなんとか落ち着かせた俺は

大事にするんだぞと忠告して去る。


「お兄ちゃんお疲れ様。

大変だったねぇ!」


「全くだよ。どうして複数と付き合えるのか。それとも天然なのか?」


隣で歩く俺と唯悧。このハーレム系の主人公野郎に唯悧に合わせたくなかった。もし惚れたらどうしようか

冷や冷やしたので早々に去ることにしたのだ。


「あっ!」


唯悧の足が止まった。一体どうしたのか?視線を追って・・・そこにいたのは父親だった。


「なんで・・・こんなところに!?」


「唯悧」


虐待により親権を母親となってから

会っていない。法的には父親と暮らさなくてもいいのだが鎖がある。

決して、解き放つことが出来ない鎖。


「会いたかったぞ唯悧。

あの頃はイライラして八つ当たりを

していたんだ。だから、すまない」


こんな住宅街によくも抜け抜けと。

あいつの家は近くにあるわけが

ないのに。俺が隣に居なかったら

恐ろしくって考えたくない。


「ひっ!?」


怯える唯悧を俺は前に出て盾になる。


「なんのつもりだ。もう合わないって

言ってなかったか?」


父親は、眉をハの字にして困る。


「それは・・・ただ顔を見たかった

んだ。本当なんだ」


「消えろ。次は警察を呼ぶ」


「お兄ちゃん待って話だけ

聞こうよ!」


「唯悧!?無理をしなくてもいいんだ。辛いなら全て俺が背負うから

こんな男に何をされるか分からない」


「ううん、落ち込んでいるパパを

見ていると反省したんだと・・・

思う。本当に話だけだよ」


手は震えている。魂を震えさせた

所業を侵した人さえ慈しみを持つなんて・・・自慢の妹だぜ!


「わかったよ。・・・おい!

場所を変える。人が多い場所と

限定させてもらうが」


「ああ、もちろんだ」


唯悧の手を繋ぎ、距離を取り後ろを

警戒しながら前へ歩く。

注意が散漫していたからなのか

白い髪をなびかせた小さな女の子が

空いた手をギューッと強く握る。


「いたい!いたい!!って何を

するんだよ高野!」


「なーに?妹とこんな街中で

デートしているんだシスコンめ!」


白いロリコン同級生は怒っていた。

どうして、そう思ったのか後で

聞くとしてだ。


「お、おまえたち付き合っているのか?いや、男女の関係なのか」


「ちげえよ!高野コイツはオヤジだ。

だから驚いて抱きつくなぁ」


顔を赤らめていた唯悧が、ハグを

した高野。そして唯悧がジト目で

俺を見てくる。今までそんな表情

しなかったことに!


街中にあるレストランに入り

会話をする。

ちなみに俺の向かいが敵のオヤジ。

俺の右に唯悧が左は高野が座る。

もちろん3人で座れば狭くて

窮屈に感じる。


「唯悧・・・ごめん!

怖がらせてしまって!!」


「それで許せると思うのか!」


「ううん、お兄ちゃん落ち着いて。

パパ許してあげる」


「ほ、本当か!」


「うん。でも条件があるの」


「条件?出来る事なら叶えてみせる」


「休日にママと会ってほしいなぁ」


数分後。俺達の父親は困った顔を

していたが頷いた。唯悧は満足そうに頷き返した。


あれから、他愛のない話を拙くとも続けた俺も歩み寄ろうとした。

心の距離や憤怒もあって上手く

行かなかったが、これから母さんを

連れていたときに。

また、2週間後と約束して帰宅。


「なぁ、そろそろ帰っても

いいんじゃないか?」


「だめだめ!兄に襲われるかも

しれないでしょう」


「お、お兄ちゃんそうなの?」


「やめろーーー!!

唯悧が冗談に聞こえないんだから。

刺激が強い言葉はやめろバカ」


「なによ!バカは由布でしょう。

これだから唐変木は」


「唐変木って、なにがだよ!」


「辞書を引いて調べたら」


高野とはリビングに入ってから

ケンカする。息が合うからこそ

起こりうることだろう。

高野は「やーいシスコン!

フレンドファイヤー!!」っと

意味不明なことを言ってドアノブを

動かし走って帰っていく。


「はぁー、どうしてこう変な

やつとよく合うのか」


「あはは、大変だったねお兄ちゃん」


コーヒーを入れ向かいに座る妹。

俺の分を入れたコーヒー受け取る。

窓を見ると夜の帳が落ちている。

静謐で落ち着く。


「お兄ちゃん!その・・・・・」


「どうしんだ?」


視線を何度もあらぬ方へ向けて

おもむろにゆっくりと開く。


「お兄ちゃん・・・の事を

大好きになりました」


「唯悧?・・・・・ええぇーーーーー!?ま、まじか」


「うん、マジだよ。

お兄ちゃんは、わたしが好き?」


潤いの眼差しで見つめられる。

そんなこと。


「俺も大好きに決まっているだろ」


「お、お兄ちゃん!!」


感激した唯悧は、俺の首を両手で

まわして抱擁する。


「最高だよ唯悧が俺のことを

大好きだったなんて!」


「わたしも・・・も。

大好き、大好き、大好きだよ

お兄ちゃん。えへへへ」


唯悧は、ダイヤモンドよりも

眩しい笑顔をして朗らかに笑う。


「失礼唯悧」


「お兄ちゃん?・・・ぬぐ!?」


俺はキスをした。これから色んな

ことがあるが、俺と唯悧なら

どんはことでも乗りきれるだろう。

だから唯悧、隣にいれば俺は

どこでも行ける!

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好きになったのが実の妹だからこそこの気持ちは嘘をつく 立花戦 @fadpgf33gaa5d5d

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