EP4 日野青葉は追いかけてみる

光莉のプランと青葉の気持ち

 ゲーム内でイベントが始まった次の日。あたしは朝から頭痛と胃痛に悩まされながら登校していた。

 別に熱があるとか病気だとかじゃない。昨日の夜にゲームが終わってから光莉がアオとして夏樹と話した内容が原因だ。

 教室には無事にたどり着けたけど机に突っ伏してる状態なあたし。


「あ、青葉ちゃんおっはよー!」


 そして原因となった張本人は元気に登校してきた。


「光莉……」

「うっ、ご、ごめんなさい」

「いや、まあ良いけどさ」


 あたしも光莉に協力を頼みはしたからいつかは恋愛方向のこと聞いてもらう必要は合ったと思う。ただ、想像よりもタイミングが早い。

 光莉は自分の席に荷物を置いてきてからあたしのところまで戻ってくる。


「それで、何かこう参考になった?」

「うぅん……ヘアアクセのこと直接言われなかったから気づいてなかったと思ってた」

「意外と見てたってことだね!」

「うん……他の人にもそうなのかな?」

「それは私もわからないけど。他に仲いい女の子もいないんでしょ?」

「少なくとも遊んでたり話してたりってのは見たことない」


 あたしといるか男子友達といるかゲームしてるかしか見たことないきがする。卒業式もあたし達と以外だと寄せ書きも男子ばっかりで書いてた気がする。あたしに関しては夏樹と金田の悪ノリと多少仲良かった子だけで白がすごい多いけど。

 まあそんなことはおいておいて、やっぱり記憶にある限りは仲がいい女子はいなかった気がする。


「そうなると……確認する方法を考えないとわからないね」

「でも、流石に露骨にやったら夏樹も気づくと思うし」

「とりあえずあたしがでかけてこようか?」

「……へ?」


 光莉はなにか思いついたといった顔でそう言ってきた。あたしは思わずその言葉の意味のわからなさに声を漏らしてしまう。


「この前と全然違う服装で言った時に、鷲宮くんが触れてくるかこないかぐらいならわかるからさー」

「いや、まあそうだけど……うぅん」

「だって、仮に私と青葉ちゃんと鷲宮くんででかけようってまた行ったら来る?」

「少なくとも今はいける状態じゃないかな」


 学校ならともかく丸1日ヒカリとしてでもなくあたしとして一緒にいると、なにか経ましてしまいそうで怖い。

 自分で自分が臆病になってるのは自覚してるけど、どうしようもない。

 そうなると確かに光莉の案は一概に悪いとは思わない。でも、気にしてしまう自分がいる。


「ま、まあ急ぐ必要もないからゆっくりでも良いと思うよ! うん!」


 光莉はそう言って気を使ってくれる。でも、あたしは自覚してしまっている。

 多分、引き伸ばしたところでどこかで行動に移さないとあたしは変わらないしわからない。

 なら早いか遅いだけなんじゃないだろうか。

 ついでにいえばバレてないから大丈夫なだけで、あたし一回すでにゲーム内だけど尾行とかしちゃうくらいには思考が混乱してる。


「光莉……」

「う、うん……なに?」

「ちょっともう現実で出かけてきていいから色々聞いてきて! 時間が合えば断ることはないと思うし!」

「う、うん」

「あ、でも躊躇する可能性はあるから金田が一緒のタイミング狙って誘って」

「え? わかったけど……そんなことあるかなー?」


 そしてこの日の昼休みに金田と教室から出ていこうとした夏樹をどうにか捕まえて光莉が誘うと、予想通り少し躊躇して金田がちゃかしぎみに「言っちゃえよ」みたいなやりとりをしてるのが見えた。

 光莉が戻ってくると「本当だったよ!」と興奮気味だ。


 まあ、夏樹のことだからそうなるとは予想できてたしね。

 だけど……なんかやっぱりふたりだけで行かせるのは嫌かもしれない。

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