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 ミラの質問にサーシャは返答し、竜二は内心驚いていた。


 彼女はこの神殿の危険があるとは言っていない。それにこの神殿が禁忌魔法を使うのに使われていた神殿だとすると、どんな魔法を使っていたのだろうか。


 火属性魔法の禁忌魔法。頭に思い浮かばない。灼熱地獄だったら、竜の火の方が強そうに見えるし、それにこういった禁忌魔法は闇属性魔法の方が多い。


「禁忌魔法。それは魔導士としてはやってはいけない魔法。錬金術だって、死者の蘇生と同じように魔法にもやってはならない魔法があるんだよ。そう、竜二の兄・火神紫苑もその一人。彼もまた、触れてはならないものに触れてしまった」


「兄ちゃんが……? マジかよ……」


「紫苑がそんな事を……あり得ないわ!」


「でも、それが真実。じゃあ、この神殿は何をするために作られた? 一つ目は禁忌魔法をするため。二つ目は火の魔導士の生贄。だが、その二つでは真実を解明することは出来ない。だが、二人ならその真実を自力で解けると思うよ。さて、この神殿の迷宮を解いてもらおうか。もちろん、私はその答えを知っている」


 この世界は竜二が思っていたよりも広く深すぎる世界だった。


 炎の魔女であるサーシャ・ノグワール。


 天候の巫女のミラ・アルペジオ。


 そして、兄の火神紫苑。


 そんなすごい魔導士の三人に出会い、運命が変わったと言ってもいいが、目の前にある謎はもしかすると、今後に繋がるようなそんな感じがした。


 炎帝竜ジークフリート————


 火竜の魔法を受け継いだ竜二は、未だに力はそれほどなく。ましてや何の力もないに等しく、この先の道に影響を及ぼすとは限らない。


 だが、それでも今は目の前にある難題を解かなければならない。


 サーシャがこういった難題を出すことはそれで毛重要なことであると意味している。


 隣にいるミラはふっ、と笑みを浮かべながらじっと神殿を見つめてこの意味が何なのか分かったみたいな顔をしていた。


 もう、彼女はこの意味を解いてしまったらしい。


「なあ、お前、この意味が何なのか分かったのか?」


「ええ、考えてみれば簡単な謎かけよ。でも、竜二はこの世界に来て魔法の知識も疎いから分からないのも無理ないわ」


 ミラは微笑みながら言って、竜二は反論の一つも述べることができなかった。

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