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「なんだよそれ……。じゃあ、今だけならこの遺跡の本当の場所に繋がっている事かよ」
などと話しているうちにミラは魔法を消し、二人は
遺跡の本当の景色は嘘かのように素晴らしい景色が目の前に広がっていた。
目の前には大きな滝があり、夜空には多くの星々が輝いていた。滝の近くまで行くと狭い一本道が作られており、その先には少し大きめの石碑が建てられている。
周りには何も明かりが無いこの場所は静かである。
そう言えば、こんなに似たような場所は秘湯に近い。
そして、その石碑には丸い穴が開いており、中央に赤い火が灯してある。
あの火は魔法の一種なのか? いや、あれはそれに近いが何かが違う。それよりもサーシャは一体どこにいるのだろうか? 魔法を解いている間はここにいるに違いなのだが、一向に姿を見せようともしない。
すると、竜二は何かとてつもない冷気が自分の背筋を通り、寒気がした。
————なんだ、今の……。まあ、夜も寒いからな冷風でも流れているだろうけど……。
この地の夜の気温は十℃近くまで下がる。日中は二十℃を越している温暖な気候であり、夜になると一気に寒くなるのはまるで、砂漠地帯のような場所だ。
ミラは何ともなさそうで、道の端を恐る恐る歩きながら目の前の石碑まで近づく。
だが、そう簡単にうまくいかなかった。さっきまで誰もいなかったその一本道に誰かが堂々と立ち構えている。
「やはり、お前たちだったか……。まぁ、いつかはこの場所もバレるとは思っていたが案外早かったものだな」
そこに立っていた人物は、竜二たちにそう告げる。暗がりでもう少し近づいてみないと分からないが、あのドレス姿には見覚えがある。
「……サーシャさん、嘘は言わなくてもいいわよ。だって、あれはわざと結界を破っていたのでしょ? その証拠に自分で壊した跡が残っていたもの」
「そう、まあ、それはそうでいいけど……」
「ここはもしかして……あなたの師である……」
「そうだ。ここは私の師であるハウザー・バウリックの墓だ。今から十年前、私の師は何者かに殺された」
それが誰だったのかは分からずじまい。
申し越し彼女に近づいてみると、赤いドレスを着て、髪をまとめ上げていた。
「そう、名も知れない私の師が誰かに殺されることは極めて低い事であり、それに殺される理由も見つからない。もし、私が動くことになるとなるならば……そうだな、これが理由なのかもしれない。それとこれとは別で、竜二、私がお前に魔法を教えるのは別な案件だぞ。お前には強くなってもらわないといけないからな」
とそう言って、サーシャは墓の方を振り向き、歩いていく。
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