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「ミラ、もう暗いんだからさぁ……。それに明日からまた、修行が始まるんだぞ」
「そう言わずについて来れば分かるわよ。あと少しだから……」
「それにしても夜じゃなくても昼間に行けばよかったんじゃないのか?」
そんな事を言いながら、どんどん森の奥へと入っていく。
いつ、どんな魔物が襲ってくるのかも分からないこの森を二人はどんどん奥へと進んでいく。
何の光も出さずにミラの動体視力を頼りに歩いていく。それに対して竜二は、その後姿を必死に見失わないようについて行く。
茂みを抜けると、目の前に例の洞窟が見えた。
近くには誰の気配も感じられない。奥の方から冷たい風が流れ込んでくる。
洞窟の向こう側の遺跡はどうなっているのだろうか。
遺跡の中にはサーシャの師である墓が建てられているのは確かであるが、ここの名を知っている者はいるが、場所を知っている者はいないらしい。
つまり、幻と言われている遺跡なのだ。
それでもどんなのか知りたい。
洞窟の中は外よりもかなり気温が低かった。
奥へ進んでいくうちに水の音が聞こえてくる。
ミラは出口の手前で立ち止まった。そして、右手に小さな火の塊を作り出す。それを手前に出して、奥の様子を窺っているのだ。
「……それで、奥の様子はどうなっているんだ? 俺にも見せてくれよ」
「少し待ってて。……なるほど、中はそうなっていたのね。どうして、街の人がこの場所を知らないはずだわ」
俺が後ろから質問すると、ミラは何も答えを返してくれずに一人で何か納得していた。
「さすがだわ。ここ、魔法の結界が張られていたのよ。それに今は解除されている。ほら、見て、あそこに結界を張っていた痕跡が残っているでしょ? それにこの魔法から感じる魔力を辿ってみると、サーシャ・ノグワール。彼女の魔力に間違いないわ」
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