第5章  炎の誓い

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 ハーバスの近くの山での戦いから数日後————


 一度、オリエンの街に戻った後、サーシャ・ノグワールにこの事を伝えていた。


 彼女曰く、炎帝竜の協力者というのが、やはり、竜二の兄である火神紫苑かがみしおんという結論に至ったという事でもあった。


 そして、炎帝竜の魔導書を見せた。


 中身の内容は、こちらの文字で書かれており、全く読めずにいた。同じ火属性魔法を使うサーシャに読めるように頼んでみた。


 すると、リバエスの言語が読めるようになる魔法をかけてくれた。


 魔導書の中身はほとんどが火属性魔法であり、竜が放つ魔法ばかりであった。その中には秘奥義なども書かれており、それだけ貴重な魔導書だと彼女に言われた。


 これは一人では解決できない事ばかりであり、修行をすることになった。


 サーシャの協力も得て、人とあまり接することのない彼女がこの地から外の世界へと出る羽目はめになってしまった。


 修行の場は、ここから北に行くと、ここと同じ空気のいい場所と、修行には最適な環境がある。


 ————炎帝竜の魔導書


 それは世界を変える力とは言えないが、誰もが手に入れることのできない貴重な一冊の魔導書————




「それにしてもまさか、竜二が炎帝竜の魔導書を手に入れるとはね……。それに炎の魔女を外の世界に出てくるとは驚いたわ。それにしても修行とはいっても今日は暇よね……」


「そうだな。ここ数日間は思い出すほど死にそうな日々だったからな。願うなら早く元の世界に帰って日本でゆっくりとした生活が送りてぇ……」


 アトラス国の北東部の近い所にあるマードック————


 オリエンと似た空気がこの地にも流れている。近くの森や綺麗な川の水から生み出されるこの地は、争いごとが少ない街でもある。


 そして、マードックの近くの図書館で二人は互いに向かい合わせに座って、静かに話をしていた。


 そして、ここ数日間は山にこもり、魔法の特訓をしていた。


 滝に打たれながら精神修行で魔力を高めながらコントロールをし、魔法のイメージをしながら炎帝竜の魔法の習得に励んだ。


 ミラもまた自分の魔力の上昇と魔法の強化を試行錯誤しながら離れた場所で一人、修行をしていた。

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