17
「これが私本来の姿だ。今はお前くらいのサイズに合わせてあるけどな……。いいか? お前には竜の魔法を覚えてもらう。これも立派な魔導師としての魔法だ」
「本当に炎帝竜だったのかよ……」
「お前、私の事をまだ疑っていたらしいな。まぁ、いい。竜の魔法皆同じであり、属性によって、少し違うところもある。いいか? 竜の力を使うには戦いの中で考え続けなければならない。
赤き竜————伝説の炎の竜は空に舞う黒き
そこにはミラがまだ逃げ戦っている。
「あれは黒き竜————
× × ×
戦いが始まって数十分が過ぎていた。
強風が吹く中、森や草原が風に吹かれて今にも根が引っこ抜かれそうになる。
この高原まで来ると、辺りが見通し良く、周りには誰もいない。思う存分戦うことができる。
ここまで攻撃をしながら走り続けてきたアーサーは足を止め、黒き竜が追ってくるのを待った。
————それにしてもミラの体を借りているとはいえ、なかなかやりにくいものだな。あいつ、日ごろの鍛錬をサボっていただろう。
『聞こえているわよ。それで、あなたはこれからどうするつもりでいるの?』
ミラはアーサーに声をかける。
「そうだな。まずは今まで以上に力を出すつもりだ。ミラの体には負担をかけると思うが、しっかりと保ってくれよ!」
『分かったわ。後、どれくらい時間かかるの?』
「……十分から二十分といった所かな?」
ニヤッと笑いながら乱れる呼吸を整えて、アーサーはミラに答える。
さすがに力を押さえながら今まで竜と戦っていたことでほとんどの体力が奪われたと言ってもいい。それにミラの体が悲鳴を上げているのも事実だ。
今は天候魔法の氷属性しか使えない以上、これだけの力でやるしかない。
頭のキレるアーサーは、冷静に計算をし終え、迫りくる竜を見上げた。鋭い牙を見せ、アーサーを見下ろす。
いつの間にか、空の雲行きが怪しくなっていた。
黒い雲から稲妻が走り出している。
————まさか、こういう展開になるとは……。
黒い雲と黒き竜が重なり合わさり、威圧が増しているようにも見える。
グォォォォオオオオオオオオオ!
天空にそびえ立つ壁があまりにも大きすぎる。雷と竜の鳴き声が重なり合わさって、共鳴している。
————これは昔の国と国の争いを思い出すな。
アーサーは、黒き竜が、この空気の流れを変えているのは確かだと感じた。
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