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だが、この声はなんだか温かみを感じる。光だけで何も分からないが、これもまた、魔法の一種なのだろうか。
触ってみると透きぬけてしまう。
竜二は考えた。これは何かがおかしい。どこか何か、物凄い魔力を感じる。そう、あの黒の竜を同じ感じが伝わってくる。
『ほう、これを触っただけで私の魔力を感じ取ったか。なるほど、その才能は本物。私が思っていたことよりもはるかに予想を上にいっていたか』
悩む竜二を見て、謎の光は言った。
表情が分からない謎の光。一体、その向こう側では誰が話しているのだろうか。
————これは、もしかして……。いや、そう違いない。
「なぁ、あんたもしかして
『そうだな。それに近い存在だということは本当だが……そんな事よりもお前は魔力を持っていながら魔法を使えないらしいな』
いや、魔法を使えない事は本当だ。だって、魔導士ではないのだ。
竜二は今までごく平凡な暮らしを送ってきたのだ。魔法なんて一度も使ったことが無いのだ。
なのに、どうしてそれを謎の光は知っているのだろうか?
本当に竜二が睨んだとおり、紫苑の知り合いではないのだろうか。不安が募るばかりである。
ギャァァァアアアアアア! と、近くで竜の唸り声が聞こえてくる。
まだ、ミラが戦っているのか? そう思った竜二は振り返って竜のいる方向を見る。
「ミラ! どうして……いや、あれは!」
いつもと違う表所をしたミラがいた。光のオーラに包まれて、氷の槍を持ちながら空を駆け巡っている。
その光景を見た竜二は、見間違いだと一瞬思った。
あれは本当にミラ・アルペジオ本人なのだろうか? 本当に疑わしい姿になっている。騎士のような勇敢な戦士になっている。
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