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 ここでじっとしていたとしても竜の風で肉がはがされてしまう。


 アーサーはちらっと地上を見た。


 地上で羽を大きく広げ————今にも飛び立ちそうなドラゴン


 今まで見てきた敵とは、違う風格を漂わせる。あれと互角と戦うことができるとしたら竜、そして、魔導士である竜殺しの魔導士ドラゴンスレイヤー以外他にいない。


 そう考えながら伝説の王はこの場から逃げるための計算をし続ける。


 さすがの伝説の王でも力の差を目の前で見せられると後退しても仕方がない。こればかりは逃げを恥じてはならないのだ。


 アーサーはフッと微笑んで、そのまま竜の上空を舞う。


 もちろん、主であるミラは大切だ。それはアーサー以外の他の四人も同じ気持ちだろう。


 だが、自分は王だ。勇者だ。英雄だ。


 だから、逃げる選択を考えたのはおそらく勝てないと悟ったから。立ち向かう勇気が無いから————そう思っている自分がいるからだ。

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