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その直後、突風がこの地を襲い掛かった。雲の動きがおかしい。
どんどん流れて行く。強い風は止まず、立っていることがやっとだ。
竜二たちの目の前に予想もしていない事が起きた。はるか上空から大きな音が聞こえる。
ギャァァアアアアアアアア!
何かの鳴き声が聞こえてくる。それは耳を押さえても響いてくる。その物体は加速していき降下してくる。
————大きな翼。
それは人間よりも動物の羽よりも大きな翼が目の前に現れたのだ。そして、竜二はその正体が何なのかに気付いた。
それは黒い翼で世界を恐怖に落とすような生物————黒の
それは今までの話に出てこない恐ろしくて、不気味な竜。黒龍に近い存在のような
それは地上から上空二、三白メートルにいて、すぐそばにいる。
そうなると、炎帝竜はこれと同等の大きさの竜なのだろうか。
ガァアアアアアアアアアア!
巨大な竜の鳴き声がこの地一変に響き渡る。
そして、竜は地上に降り立った。目の前にいる竜二たちの体は震え上がって、一歩でも動けばどうなるか分からない。
この近くにはハーバスの街がある。それにオリエンも安全とは言えない。炎帝竜ではないこの黒い竜は一体何者なんだろうか。
それでも普通の人間や魔導士が
「おい、あの
「分からないわ! でもすごい力よ! これが竜の力……。立っている事しかできないなんて……。でも、どうすれば……」
ミラは左腕で風を凌ぎながら考える。竜二には何もすることができない。
白銀の髪が宙を舞い、黒のドレスが風によって激しく揺れる。
その表情は厳しそうにしており、すごい汗が出ている。だが、ここからどうやって逃げるかが先だ。
「竜二。私が魔法を撃つからそれと同時に逃げるわよ! 天空の空に舞い踊れ! 雷の舞!
そして、ミラは魔法を唱えた。
すると、空の雲行きが怪しくなり、すぐにこの上空だけが夜のように暗くなる。そして、黒い雲の隙間から何かがやってくる。
隕石が無数にこちらに向かって加速して落下してくる。一見おとなしそうで可愛らしいミラが、こんなとんでもない魔法を使うとは思ってもいなかった。
「今よ! こっちに走って来て! 竜からなるべく遠くの場所に逃げるのよ! 早く!」
「あ、ちょっ、待て!」
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