第一話 9-14
ある日部活に顔を出したら、まずいことになっていた。
「
「この投稿サイトで、今度『魔法少女ドジっ娘マホちゃん』をテーマにしたコンテストが行われるみたいなのですぞ!」
「これに出してみてはどうですか?」
「え、ええと……」
「お姉さんである
「妹である
「ふふふ、今から結果発表が待ち遠しいですね」
「そ、それは……」
……ああ、うん、これはまずい。
何がまずいって、コンテスト自体も今の
締め切りは……三日後なんだよ。
確かに筆が速い絵師なら三日もあれば十分に一枚あげられるとも聞いたことがある。だけど
「あ、あのさ、今から急に応募するのも大変だし、今回は見送った方が……」
何とか止めようとするものの、
「ああ、ちゃんと
「エントリーも済ませましたし、SNSで宣伝もばっちりですぞ!」
「いよいよ
うわぁ、しっかり外堀が埋められている。
というか墓穴がもりもりと掘られている。
もはや断れる状況じゃない。
「あ、あの、ええと……」
「ど、どうしよう、せんせー……!」
部活が終わって、案の定、
どうしようって、それはこっちが
「…………こ、こうなったらもう、
また何かものすごく物騒なことをつぶやいていませんかね。
「とにかく、犯罪は論外として……」
残された時間はあと三日。
正確に言えば七十時間弱。
その時間でできることと言えば……
「こうなったらもう……残り三日に賭けるしかないか」
「え……?」
「幸いなことに明日からは土日だし、そこで死ぬ気で追い込みをかけてがんばれば……」
そのことを説明すると、
「え、えっと……それってつまり合宿をするってことだよね?」
「合宿……まあ、そういうことか」
どっちかと言えば缶詰とか背水の陣とかだけど。
「……分かった、覚悟を決めるよ。習い事も勉強も、全部今回はお休みにしてもらう」
「うん、それがいい。──よし、そうと決まったらこんなところで俺と無駄話をしてる場合じゃないな。すぐに帰って始めないと」
と、そこで
「え、せんせーは参加してくれないの?」
「え、俺?」
「だって、せんせーがいなかったら、何をしていいか分からないよ……? 追い込みって言われても、今までとどうやり方を変えればいいのか分からないし……」
「それは……」
そうかもしれないけど。
まいったな、それは考えていなかった。
「え、じゃあどうするの?
「ごめん……うちはだめなんだ。習い事を休んじゃうから、家族には勉強のための缶詰ってことにしようと思ってるの。だからこのことは〝秘密〟で……」
「そっか……」
確かにイラストの特訓をしますから習い事その他を休みます、はまずいだろう。お嬢様的に。
でもそれだとどこでやればいいのか。まさかカラオケボックスに三日間入り浸るわけにもいかないし……
どうしようかと頭を悩ませていると。
「こうなったら……もう残る場所は一つしかないよね」
「え?」
「うちはだめ……カラオケボックスもだめ……だったらもう、残る場所は一つだけで……」
何か、アレな予感が。
何となく次の展開が予測できた俺に、
「
「……。……え、まさか」
「うん、せんせーの家で……合宿だよ!」
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