バレエ『くるみ割り人形』と想い

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　今日は、結婚記念日です。

　パパはお仕事に行っていました。

　パパ、結婚記念日ですが、どうですか？

「いつも通りだよ。もう二十▲年も一緒にいてみなよ」

　確かに、団地の管理費や回覧板の集まりにママは出掛けたりして、しかも何となくお風呂もしっかり入ったりして、ちょっと一緒にいられる時間を自分で減らしている気がする。何も、結婚記念日の感想を書かなくてもとも思う。

　喉が渇いて、パパにビールをねだってみた。

「アルコールは水分を欲しがって、余計に喉が渇くよ」

　そんな普段ない話をされたりして。ちょっとだけ、いつもと違う二人もいいなと思う。

　でも、結局、私の頭の中は、変わらない。昨日のバレエでのことで、子ども達の成長にぴぴっときていたりする。

　少し前までは、パパはパパではなかったよね。子ども達を育ててくれたパパは、このパパなんだなと……。勿論、長く子どもに恵まれなかったから、二人だけの時間も大切だったよ。

　私が大きな病気をして、送り迎えを遠くまで行ってくれたね。北の国で、私の好きな女性の医師がいたけれども、あなたには厳しい医師のようだったね。人生観が変わる程だったと聞いたのは最近のことで驚いたわ。

　パパ、私の病気について、どう思う？

「今更だよ」

　それだけ言って、ビールにナッツを口に運ぶ。やっと一人で通院しているものね。ごめんなさい。色々と苦労を掛けて。

　ああ、日付も変わり、今日はプラス一の日になる。二十▲＋一の日だね。

　パパの頭中は、面白いことになっている。それは給料が入ったからでもあるのかな。

「ホットプレート、買うかな？　鍋型がいい？　それとも四角い鉄板のみ……。タコパーは、どうするか……」

　それによって、明日のお祝いが変わって来るよね。

「テレビで生さだ、始まったよ」

　そうだね。深夜にもなる。この辺でお開きにしませんと。

＜お読みいただきありがとうございました＞

完