竜と人が奏でる、やさしい御伽話

 竜から生まれた人の子は、ティリーアと名付けられる。
 それは、涙の泉という悲しみの意を秘めていた。

 時を司る竜の力を持つ竜の子、アスラには大好きな姉がいる。
 だけど、その姉は竜の両親から生まれたはずであるにも関わらず、人の身体を持っており、そのことから村の民から敬遠されていた。
 それでも彼は、姉を慕い、その理不尽に心から憤っていた。
 そんな彼の村に、二人の竜が訪れる。
 やさしく、そして、力強く、未来を見据える二人の竜との出会いは、姉弟の運命を変えていく――。

 星の欠片を集めて編んだような、幻想的な世界観。
 春の日差しのような柔らかい文章と描写で、全てが優しく包み込まれる。
 突き刺さるような、今という逆境に、彼らは負けずに未来を思い描いていく。

 これは、竜と人が描く、歴史であり。
 過去であり、現在であり、未来である。
 やさしい、彼らの想いを見届けよ。

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