第4話 天を貫く塔

 明くる日。


 少女はいつものように目覚めた。青年は座ったまま、まだ眠っていた。

 遠くの方で鐘の音が聞こえる気がする。その音に反応したのか、青年も起きた。青年は少女の具合を気にしているようだ。少女は首を縦に振り応えた。


 外に出ると変わらぬ暗闇が待っていた。青年は少女の手を握り、歩いていく。


 暗闇の先に塔が見える。それはどこまでも高く続くような塔だった。どうやら青年はそこを目指しているようだ。


 2人は歩く。


 歩く。

 歩く。

 歩く。


 塔はもう目の前だ。


 地が揺れ、轟音がこだまする。


 青年は少女を突き飛ばした。


 少女はよろめきながら、転ばないようになんとか体のバランスをとった。


 青年に目を向けると、青年は叫んでいた。


 そして、雷が落ちた。

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