第5話 微かな声

 雷の光に照らされ、辺りは真っ白になった。


 雷は青年を狙ったものだった。


 光は収まり、再び暗闇が世界を包んだ。


 青年の倒れる音が聞こえた。黒焦げになり、地面と同化した青年を探すのは難しかった。

 青年の発する微かな声を頼りに近づく。しゃがみ込み、地面を探る。少女の足に何かが触れた


 青年の手だ。


 青年は最後の力を振り絞り、少女に何かを伝えた。少女はそれを聞くと、塔へと走った。


 何か音が聞こえる。空を見上げると、翼の生えた鎧が降りてきていた。その鎧は地面に降りると青年の元へと近づいた。青年を回収しようとしているようだ。


 そのうち2体が少女の元へと近づく。後ずさりしながら、鎧から逃げる。しかし、すぐに少女は捕まった。抵抗もできなかった。


 鎧の肩越しに、青年を乱雑に扱う鎧の姿が見えた。


 そのとき、少女の感情が爆発した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る