第2話 風雲急を告げる

 少女は目覚める。まるで機械のように、いつも決まった時間に目覚める。


 服を着替え、椅子に座る。


 城の鐘が鳴ると、来訪者がやって来る。1日中、来訪者の案内を続ける。そして、2回目の鐘が鳴った。

 少女は一息つき、椅子から立ち上がった。その瞬間、城の扉が開く音がした。


 少女に向かって言葉を叫ぶ青年。


 年齢は少女と同じくらいだろうか。青年は走って少女に近づく。少女が立ちすくんでいると、青年は少女の左腕を掴んだ。口を開閉し、なにかを伝えようとしているようだ。


 少女は頷いて応えた。


 青年は少女を連れ、走り出した。暗闇を真っ直ぐに走ると城の扉がうっすらと見えた。扉を潜り、少女は初めて城の外へと出た。


 外も、城の中と変わらず暗い。少女はだんだんと視界が暗闇に慣れてきた。城の外にある大階段を降りた先には、青年の仲間と思われる大きな獣が待っていた。青年は少女に背中に乗るように促す。

 2人は獣に乗り、再び暗闇の中を走り出した。獣の背中で風を受けながら、安全を願うように少女は歌っていた。

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