第4話

 白いマフラーとシールドの隙間から潮の香りが入り込んできた。町を出てから海を左手にひたすら北上を続けている。まあ分かってはいたものの出発から二時間現在、人間は見ていない。

 海沿いの曲がりくねった道を丁寧になぞりながら走っている中、ひたすら考え続けていた。なんでこんなこと始めたのか。別に家の中でじっとしとけば良かっただろう、こんな事しなくたって。

 それでも孤独に耐えきれなかった。友人も家族もみんなを失ってしまった自分の心の中にはぽっかりと穴が開いてしまった。タンデムシートに誰かがいて欲しいのはその穴を埋めるためなのかもしれない。

 しかし、みんなを失ったと言ってもこの地球に残ったのは自分自身の判断だ。今更どうこう言っても仕方がない。自分が前に進まなかった、いや進めなかっただけなのだから。

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