俺、夜更かしする。

もうすぐ年が変わる。昔はお正月イコールお年玉だったから、年越しが楽しいとはあまり思えなかった。

今は年越しの瞬間が楽しみで仕方がない。


今は居間で年越しそばを食べてる。

……ダジャレじゃないです、ほんとです。


時計を見ると、11時半を過ぎたくらい。

恒例の歌合戦がそろそろフィナーレを迎える時間だ。


あんまり時間の指定とかしなかったから、いつかかってくるかわかんないな。

早めにスマホの前に待機した方が良いんだろうか。


そんなことを考えつつ年越しそばを食べ終わり、おやすみの挨拶も手短に済ませ部屋に戻る。

いつもなら歯磨きして寝てしまうけど、今日は寝るわけにはいかない。


ベットの上に寝転がりながら電話が来るのを待つ。

まだかな、まだかな、と柄にもなくはしゃぎつつ待つ。


ふと時計を見ると、11時45分くらい。

昔から夜はあまり得意ではなかったし、もう眠くなってきた。

でも約束破ると恋愛関係も破れるって言うし……


俺は襲い来る睡魔と戦いながら、電話を待つ。

桜ちゃんと話せるというご褒美をモチベーションに。


◇◇◇◇◇◇◇◇


なんだか遠くからスマホの音がするような気がする。

うーん……これは……電話……電話!?


自分でも驚くほど素早くスマホを取って、応答ボタンを押した。


「もしもし?ごめんウトウトしてた!」


「いえ、でも、心配しましたよ?」


「本当にごめん!」


本気で心配していたのか、安堵の声が聞こえる。

世界一可愛い彼女より睡魔を取りそうになるなんて……


「もう少しでお義母さんに電話するところでしたよ。」


「何でお袋の電話番号知ってるの?」


しかも「おかあさん」の発音に妙なものを感じた。

気のせいかもだけど。


「ふふっ、以前お家に伺った時に交換したんです。仲良くしてもらってます。」


いつの間に……確かに桜ちゃんが家に来たとき、楽しそうにおしゃべりしてたな。


まあ、仲悪いよりは良いか。

将来的に結婚……とか?するとしたら……い、良い、よね。

自分で考えてなんだけど、照れる。

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