一通の手紙に隠された、人々の思いを探し求めて……

☆ 【中】『配達されなかった七通の手紙』作者……水円 岳さま

             『登場人物一覧』


長田おさだ 忠兵衛……初老の主人公。


西堀 たかし……西堀家の一人息子。会話文にひらがなが多いことから、幼稚園児~小学校中学年くらいまでと思われる。愛称は「ぼん」。


角谷 タキノ……長田と同じ近所に住む老女。息子・孫・ひ孫と一緒に暮らしている。


舞花……女子学生。最初は長田と衝突するも、次第に打ち解けていく。年齢描写はないが、言葉遣いから中学生~高校生くらいと思われる。


女性……夫と離婚しており、娘とは別居中。手紙の内容から、娘の名前は「ふみ」と思われる。


敏弘……青年。かつて祖父が住んでいた場所を、オートバイで見て回る。他界した祖母や祖父を想う描写があることから、家族思いの青年であると思われる。


桜井 貴之……骨董品を扱う業者。親しげな会話が多いことから、長田とは長年の付き合いがあると思われる。


村岡……夫を病気で亡くした未亡人。女で一つで息子二人を育てる。


小島……郵便局に勤める職員。長田が購入した赤いポストを、局で使用する予定。


            『特徴・印象に残った点』


一 私たちが普段から目にすることが多い「手紙」を作者さまはテーマにしていますが、こんなに多くのドラマが描けるのかと驚きました。一つ一つのエピソードが適度な長さにまとまっており、これぞ中編小説の魅力なのかなと思いました。

 そしてお話の本筋でもある「後悔」について、あとがきを読み終えた時、私は納得しました。


二 会話文のみで構成されている作風はなかなか見かけないので、とても新鮮でした。作者さまがあとがきでも述べていますが、“想像力を働かせて読んでください”ということだと知りました。なので自分で物語の世界観を脳裏に描くことが好きな方には、おすすめの作品だと思います。


              『気になった点』


一 会話文のみでお話を進めるのであれば、冒頭に誰がそのセリフをしゃべっているのか書かれていると、より臨場感やリアリティが出てくると思います。中編小説ということであえて明記しなかったのかもしれませんが、その点における認識は若干異なるのかもしれませんね。


               『総合評価』


 独特の作風ではありますが、良い読書時間を満喫することが出来たと私は思います。難しい専門用語なども一切登場せず、日常を中心としてお話が進むこともポイントです。内容もこれぞ「現代ドラマ」という作風でしたので、興味がある方はぜひ一度作品を拝見してみてはいかがでしょうか?


         『配達されなかった七通の手紙』

     https://kakuyomu.jp/works/4852201425154968810

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