第39話

引っ越したら、もうバスケはやめたる。

そう思ってた。


関西にいたころは、たまたま通ってた中学が強くて

たまたまチームが強くて

たまたま、選抜になれただけ。


たまたま、や。


”なぜバスケットボールをするのか。

なぜ強くなりたいのか。”


引っ越した先の学校のバスケ部は弱いし、2年おらんし、

やりがい、っちゅーのが全くなさそうやった。


やめや。

ほんまに。


でも、バスケをしなくなった生活を始めて

何したらええかわからんくなった。


「なんで部活行かへんの?バスケやるんちゃうの?」

「やめんねん、もうええやん。」

「何言ってん〜、あんな楽しそうにやってたやろ〜。」


楽しそう、やったんた。

でもそれって、みんながおったからやん。



帰りに体育館をのぞいて、1年だけが練習をしていた。

それを見て、関西にいたころを思い出した。


「だめだめやん・・・

でも、ええな、なんか。」



”なぜバスケットボールをするのか。

なぜ強くなりたいのか。”



「なあ、入部ってどないしたらええん?」


どこに行っても、できる。

誰とやっても楽しいと思いたい。

でも強くなりたいかは、わからへん。

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