第38話

スポーツならなんでも良かった。

身体能力は、まあ良かったから体育の授業も負け知らずで

楽しい、得意というよりは

こなす、に近かった。


”なぜバスケットボールをするのか。

なぜ強くなりたいのか。”


理由は特にない、と感じた。


ただひかっかたのは、

後ろで走るあいつのこと。


あいつは小さいことからお名馴染みで、

最初こそは身長もいろいろ変わらなかった。

小学校にはいってから、違いを自覚した。


「ハルヒってガイジンでしょ〜」

「髪ちがう〜」

「なんで白いの〜」


一緒だと思っていた彼は

どんどん、俺と違っていった。

そもそも違ったことに、俺は違和感がなかったから

他人の言うことで気づいた。

それくらいの、程度だった。

でも、身長を抜かされて

初めて、ハルヒに負けた感覚を覚えた。


「ハルヒ、俺とバスケしよーぜ。お前、俺よりでかいし。」


ちょっと嫌味になったかもしれない。

でも、彼はびっくりした顔をして

すぐに笑顔になった。


「うん!」


バスケなんて、授業でしかしたことなかったし

別になんでもよかった。


”なぜバスケットボールをするのか。

なぜ強くなりたいのか。”


俺、お前とバスケしたい、だけじゃなくて、

お前に勝ちたいの、かも、しれない。


なんでだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る