第5話 みんなのペット
結局、下校時刻を過ぎていたためノートを再び使うのは明日に延期という事になった。
明日は日曜日。今週の日曜日は高等部の先輩たちが部室や飼育小屋の動物の世話をローテーションでしてくれる週なので、わたしたちはどんな動物をスケッチしたいか話し合った結果、
「みんなの飼ってるペットを鈴の家に持ち寄って、順番にスケッチしてこうよ!」
ということになった。
わたしの両親は元町で動物病院を運営していて、1階が店舗、2階より上が住居となっている3階建ての家だ。
両親とも獣医師なので、わたしが生物部に入ることも、そして明日みんながペットを持ち寄る事もすぐに賛成してくれた。病院部分の衛生管理は徹底しているので、住居部分のみならペットを持ってきても大丈夫という事だった。
そして日曜日となり、それぞれがスケッチしたいペットをケージに入れて持ってきた。
彩先輩は混血種の三毛猫「マーブルちゃん」子猫の頃に親戚からもらった猫ちゃんらしい。人間でもそうだけど、
猫や犬も純血種よりも混血種の方が体が丈夫で遺伝子疾患などのリスクが少なく、長生きする傾向が強い。
お金持ちの方はブランド血統の純血種じゃなきゃ嫌、という人もいるが、そういう考え方はわたしは少し反対だ。
楓ちゃんはウサギのネザーランドドワーフ「キャラメルちゃん」ピーターラビットのモデルにもなっているポピュラーな種類のウサギで、人懐っこく飼いやすいのが特徴だ。
まさに「ザ・ウサギ」といった正統派の可愛らしさ。ペット界での人気もダントツNo.1のウサギだ。
チャチャちゃんはヨツユビハリネズミの「小太郎ちゃん」を連れてきてくれた。ゲームのキャラクター「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のモデルとして有名な動物だ。
ハリネズミは特定外来種として飼育禁止になっているものも多いが、このヨツユビハリネズミはペットショップなどで購入できる、飼育が認可されている種類だ。
最近はハリネズミカフェなどもできており、ペットとして人気がじわじわと上がってきている。
パフィンちゃんは昨日も描いたパピヨン犬の「パピちゃん」大きな耳が特徴で、パピちゃんは白とライトブラウンの二色の体毛だ。
ちなみにパフィンちゃんの家では乗馬教室などもやっているらしく、本当は馬も連れて来たかったそうだけどわたしの部屋に入れられないので
今回は見送りとなった。
そしてわたしは家で飼っているペットのうちの一人、フクロウのスピックスコノハズク「スピピちゃん」をスケッチすることとした。
体長15cmほどの小型のフクロウで、人にもなつきやすい。くりくりと大きな瞳がかわいい。それにほら、やっぱり興味あるじゃん、
果たして変身したら、空が飛べるのか!
「さあ、誰が最初に描くか、ジャンケンで決めようか!」
結局昨日の奪い合いの決着は、ジャンケンで付ける事となった。わたしは最初に描いたのでこのジャンケンには不参加だ。
「最初はグー、ジャンケンポン!」
1回目はパー、グー、グー、グーでチャチャちゃんの勝利。
その後勝負を繰り返し、チャチャちゃん、楓ちゃん、彩先輩、パフィンちゃんの順になった。
「うぅ悔しい、4番目カぁ」
パフィンちゃんがうなだれる。
「よし、それではトップバッター、フォン・チャチャ、描きます!!」
この為にわざわざ買ってきたという、普段の授業や勉強では絶対に使わない4Bの鉛筆を握りしめ、チャチャちゃんがスケッチを始めた。
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