第6話 ティティアンエボリューション・ヨツユビハリネズミ!
かきかき、かきかき。
かきかき、かきかき。
かきかき、かきかき。
「できたっ!!」
チャチャちゃんの絵が早速完成したようだ。
「おおー、なかなか上手いね」
「うんうん、とっても可愛く描けてるよ」
皆で完成した絵をのぞきこむ。ヨツユビハリネズミの小太郎の特徴をうまくとらえた、コロコロっとした愛くるしい絵だ。そして、五人に緊張が走る。
「本当に変身できるのかな?昨日のあれ、やっぱり集団幻覚か催眠にでもかかってたんじゃ……」
彩先輩が不安混じりの声を出す。パフィンちゃんや楓ちゃんも不安と緊張の混じった表情だ。そして、
ティティアンノートが宙に舞いあがり回転し出す。チャチャの頭の中に、明確に言葉が浮かんでくる。
「ティティアンエボリューション、ヨツユビハリネズミ!!」
チャチャちゃんの身体が光に包まれ、そしてー。
「……本当に、また起こった!」
わたしの時もこういう感じだったのか。身長60cmほどに縮んだ体。無数の針が生えたフード付きマント。小太郎の体表の色を模したショートジャケットとハーフパンツ。
間違いない。本当に変身した。
「変身、できたー!!」
部屋の鏡を見ながら、ヨツユビハリネズミと人間のハーフ?に変身したチャチャちゃんが、驚きと嬉しさの混じった声で叫ぶ。
「「「「かわいいー!!」」」」
私も含め、他の4人が一斉に抱きつく、そして
「「「「痛いーっ!!」」」」
そう、彼女はハリネズミだったのだ。
「どう?今どんな感じですカ?」
パフィンちゃんが質問する。
「んーと、言葉も普通に喋れるし、周囲の物が大きくなったと感じる以外は、特に変わった点はないけど…ん、何だか普段聞こえないような音まで良く聞こえる感じはあるわ」
「でもなんかやっぱ慣れない体で動きにくい感じはあるかな。ヨツユビハリネズミなのに、なぜか指は五本になってるけど」
確かに。元となった動物と人間のいいとこ取りのような恰好になっている。事情を知らない人が見たら、幼児のコスプレといった感じだろう。
「これすごいなー。もっとたくさんの動物を描いてストリートで変身ショー開いたら、いくらくらい稼げるかな?」
発言が相変わらずのチャチャちゃん。早速、鏡に映った自分の姿をあらゆる角度からスマホのカメラで撮り始める。小太郎の入ったケージを隣に置いてツーショット写真なんかも撮り始めた。可愛い。
「さぁ!次は私の番ね!!気合入れるぞー!!」
そして次は二番バッター、楓ちゃんが鉛筆を握りしめた。
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