第13話 『関ヶ原・上』司馬遼太郎(再読)

 お久しぶりです。約二ヶ月ぶりの更新です。

 最近は司馬遼太郎作の『関ヶ原』を読んでおりました。というのも、旧暦だと9月15日が関ヶ原の戦いが起こった日でして。それにかこつけて読んだ形です。


 と言ってもこの小説、文庫本で上中下とある大巨編でして、今回読んだ上巻では、関ヶ原の戦いはまだ始まっておりません(汗)でも、戦が始まる前から熾烈を極めている、石田三成と徳川家康の政治的駆け引きが読んでてめちゃくちゃ面白いので、全然退屈してません。


 私は三谷幸喜さんの『真田丸』を見て以来、もう石田三成が大好きでして、どうしても偏った方向から見てしまうのですが、この政治的駆け引きにおける家康の憎たらしさったらありません(笑)彼の謀臣・本多正信も相当な食わせ物ですけどね。


 家康は秀吉亡き後の政権を我が手中に収めようと、あの手この手を使うんですが、そのやり口が秀吉様ラブの三成(すみません砕けた言い方で)の逆鱗に悉く触れる触れる。行政を司る奉行というお役目もありますから、三成はそれを逐一糾弾します。まあ家康さんはわざとそうしてるんですけどね。ざっくり言うと、三成を刺激して刺激して刺激しまくって、いよいよ三成が兵を挙げたらそれを叩き潰し、それに乗じて一気に徳川政権にしちゃおうって腹です。


 三成は家康の手のひらでコロコロ転がされているようなものですね。本当に。

あと三成って人望が本当にないんですよ。同僚から殺されかけますし。一方家康は人望があるんですよね。うう、本当に家康の圧倒的有利。戦が始まる前からすでに有利な匂いがプンプンしてます。私としては三成さんがんばれと言いたいところですが、史実という名のネタバレがありますからね……。再読なんですけど心して読んでいます。


 

 ここからは『関ヶ原』というか作者の司馬遼太郎の話になります。

 私も一応小説を書いている身。読んでいると司馬遼太郎さん本当にすごいなと思わされることがかなりあります。だってこの人、普通やってしまったら物語が破綻しそうなことをやっていますもの。それでいて全く物語破綻していないんですよ。恐ろしいです。

 

 具体的に何をやっているのかというと、ある人物が登場すると、その人物の軽い紹介にとどまらず、「余談だが……」で始まりその人物のその後、逸話、果ては子孫の話まで長々とするんです。あとは、急に「筆者は……」って司馬さん本人が自分の経験しゃべりだすこともあるんです。新幹線に乗っている時の景色がどうとか。もちろん物語に関係ある話ですけど。


 要は話があちこち脱線しまくるってことですね。でも、読んでいるこちらからすると不思議とストレスにはならず、すらすらと頭に入ってくる。というか面白いんです。もうどうしようもなく。

 

 こんなことがあるので、これそもそも小説か?って意見もネット上でチラチラみられます。どうなんでしょう。


 そういえば、司馬さんの小説を読んでいる時に気をつけていることがあります。それは、この小説に書いていることを全部史実と思わないようにすること。当たりまえのことなんですけどね。歴史書じゃなくあくまで物語を楽しむ小説ですから。けれど、司馬さんの文体が凄く淡々としているんで、なんだか史実に思えてきてしまうんです。多分すでにいくつか史実だと勘違いしている部分あるはずです笑。いつか関ヶ原の戦いに関する論文や新書を読んでみたいな。

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読書日記 藤咲メア @kiki33

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