第12話 あの人とは

あれから、何度も「写真の男性」について聞いたが、一向に口を閉ざすメイさん。

写真の男性とはどういった関係なのか分からない。


「メイさん、毎回しつこく聞いて申し訳ないです。でも、写真の男性との関係を教えて欲しい。

お願いだから、教えてください!」

しつこいのは自分でも、よく分かっている。

でも、気になって仕方が無い。

断られるのを承知で思い切って聞くと、メイさんが遂に口を開いた。

「その人は命の恩人。橋から川に落ちて溺れそうになった時に助けてくれた人。いくら川原木であっても、詳しい事は言えない。その人の秘密をバラす訳にはいかないから。」

と言い、ずっと大切にしていた理由が何となくわかった。


「命の恩人ですか。でも、その男性の写真はどうやって手に入れたんですか?」

と、聞くとメイさんは

「男性から直接頂いた。大切にとっておいてくれ。と言われてね。

お守りとして、持ってたんだよ。

それに男性が助けてくれなかったら、あたしはここには居ないし、川原木とも出会ってない。」

その男性に、お礼がしたい。

でも、その男性がどこの誰かすら分からないので、探しようが無い。

唯一の手掛かりは一枚の写真のみ。


ふと、写真の男性を注意深く見ていると脳内で何となく引っかかった。

見た事のあるような容姿。

「ん?この男性…。どこかで見たような…。」

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