第6話 メイさんへの不安
1ヶ月間という短期にはなってしまったけど、無事に林業職に就くことができた。大きな支えとなったのはメイさんだと思う。
ここのところは、就業に際しての準備等で予定が合わず寂しい日々を送っていた。
それはそうと、早く報告しないとな!と思い、バイクで近くの山に向かった。
「慣れんな、運転。慎重に…」
「ビビッて超低速で走行してから、徒歩よりも遅くなっちまった…。むしろ、その辺でご老人が押してるような「手押し車」の方が早いかも知れんな。えっと…メイさんの家はここか。」
家の前に到着したが、どうやって呼べばいいのか悩む。人なら呼び鈴とかあるんだけどメイさんは猫だからな。呼び鈴なんて無いしな、どうしよ?
「大丈夫ですか?そんなとこで寝てたら風邪引きますよ。」
若いサラリーマンに起こされた。待っている間に寝ていたようだ。
「あぁ…すみません。ん?ということはまだか。」
メイさんの家の方から、鳴き声のような音は聞こえてこない。外出をしているらしい。でも、帰ってくる気配は一向に無い。
数分後、遠くから人影ならぬ猫影がかすかに見えた。
「メイ?さん?あぁ!(メイさんを抱える)」
左右に揺られ、まるで泥酔している人のようにフラフラしていた。
「さては、あれ食べました?遅かったのはあれですか。ダメですよ、酔っ払いやすいんですから!」
「ごめんね~ちょっとだけのつもりがね~思いのほかたくさーん食べちゃって。転寝もしちゃったよ!!」
酔っ払いやすい体質なのにも関わらず、お勧めされたりすると断ることができずつい乗っかってしまう傾向にある。何か、騙されたりでもしなければいいんだが…。すごく不安である。
「今日は、就職報告をしようと思ったんですがその様子だと無理ですね。後日改めて報告に来ます。もう食べちゃダメですよ!美味しくてもダメです!」
と厳重に注意。荒らげて言うくらいじゃないともう一度やりかねないらしい。
「メイは、強く注意しないとまた始めちゃうんですよ。(人間で言うアルコール中毒程度)誰かが見ている監視下であればやらないと思うんですが、離すとやっていたりするんで本当に注意しないといけない。」
とメイさんの友人が明かしてくれた。
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