第5話 告白

四六時中、メイさんの事を想ってしまう。

今は、まだ友達といった関係で付き合ってもいない。


なかなか「付き合って下さい!」と言えないのである。そして何より不安なのは人と猫の関係。

普通は人同士で恋人になるかが決まるが、今回は人と猫。

少なくとも、そういった事例はおそらくないだろう。


この件は誰にも相談できない。した所で馬鹿にされる可能性は高い。

自分自身で解決しなければならない。


数日経っても告白できないでいた。

それを見るに見かねた一緒に同居する大学の先輩が「せめて、人形なら緊張しないでしょ?ずっとその調子だと一生進展しないよ。

人形役は俺がやるからさ。」


先輩の協力の下、人形での模擬告白をした。

「急に呼び出してごめんなさい。実はちょっとした話がありまして…。

…あの!僕と付き合って頂けないでしょうか!?」


「おぉ…まあ悪くはないな。良いとも言い難いけど。あとは、もうちょいゆっくり話した方がいいかも。ちょっと今、早口だったし。」

自分では全く自覚がなかったが、どうやら早口で話してしまったらしい。

本番じゃなくて、良かった。

「逆にゆっくり過ぎるのもダメだぞ。経験者が言うんだから、嘘ではない。」


翌日、メイさんの住む山に向かった。

「メイさん、居ますか?」

すると、後方からメイさんらしき声が聞こえた。

「川原木?どうした、こんな朝早くに。」

「あ、その…話がちょっとありまして…。えっとメイさん。僕と付き合って頂けないかな~と。」

すると、メイさんは

「川原木、ご冗談を!年齢的に考えて、あり得ないでしょ。アタシの事幾つだと思ってたのよ。人間で言うとおばあちゃんくらいの歳よ?数年しか一緒に歩めない可能性もある。それでもいいのかい?」


「全然、問題無いです。年上だろうが年下だろうが初めてバス停で会った瞬間に一目惚れしてしまったんです。年齢は気にしません。」

と即答。

バス停で会った瞬間、運命を感じた。

でも、まさかメイさんの年齢が人間で言うとおばあちゃんくらいの歳なのは驚いたけど。

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