第5話

桐山 諒 side


昼休みが終わるギリギリに戻ってくると、机の上にノートが返ってきていた。

千坂さん、もう書けたのか。はえーな。

特に確認をすることもなく机の中にしまおうとしたら、手紙の存在に気づいた。

千坂から。



『桐山くんへ。

ノートありがとう(୨୧•͈ᴗ•͈)◞ᵗʱᵃᵑᵏઽ*♡

ところで、食物アレルギーはありますか??(๑ΟᴗΟ๑)?

千坂 璃乃。』



天使がいますね。

天使ですね。ものすごく可愛いです。

でもなんで、食物アレルギー?

古文にもノートにも関係ないしなぁ……。

まぁ一応、返事を書く。


『千坂さんへ。

アレルギーは特にないです。

桐山。』


これでいいかな。

さて問題は、この手紙をいつ渡すか。である。

あいつ基本自分の席にいるし、あとあのうるさい犬がいる。

あいつに嫌われてるし、俺的にも苦手だからできれば関わりたくない……。

掃除の時間か移動教室の時に置くか……?

……移動教室今日ねーじゃん。

掃除の時間か……。長いな……。


ブーーッブーーッ


あ、やべ。スマホマナーモードにするの忘れてた。

なんだよ誰だよ……。

悪友じゃねえか……。

通知だけ見てサイレントマナーモードに変えてすぐにしまう。

先生きたし。バレたら取られるからな。


そのまま俺は、しばらく手紙のことを忘れていた。

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