第5話カブト

・小話・

戦闘系の物語なのに、戦闘シーンは、まだないという、

誠に申し訳ございませんでした。

今回から戦闘シーンは、沢山あるので期待してください。


小話はここまで、本編をお楽しみください。

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出発してから、数十分。

町中に着いた。


「おぉ!カブト虫じゃん!」


響喜は、小学生の様にはしゃいでいたが俺もこんな町中でカブト虫を見るのは、初めてだ。しかもこんなに沢山。


「おい火炎、ほら見ろよ三匹捕まえたぞ。」


響喜のはしゃぎ様でもわかる様に、

俺の視界に入るカブト虫はざっとでも

数十匹ぐらいいる。しかもどれもこれも同じ方向に向かっている様に見える


これは、何かがある。


そうふんで雫と由紀に視線を送らせた。

雫と由紀も、同じ思考回路に入ったらしく目が合うと頷いた。


「おい火炎、どうしたんだよ?

ちょっとまてよ!」


わからない響喜は、置いて走った。


カブト虫を追うこと数分。

だんだん中心に近づいたのか、カブト虫の量が増えてきた。


そしてまた数分


やっとカブト虫たちの集合地点に着いた。

俺らは、建物の影に隠れて観察をした。

カブト虫たちは、中心に集まり、何かを包んでいるようだった。


そしてカブト虫を見えること数分


さっきよりは、だいぶん視界に入るカブト虫の量は、減ってきた。

量が減ったためか、カブト虫たちが包んでいる物が少し見える様になった。


中心には、両手を挙げて立っている男の様な物が見えた。

身長は165cm〜170cmぐらいある。


そしてまた数分・・・


最後の一匹。

それが入ると、男は、こっちを向いてきた。


「出てきなよ、火炎君。」


余裕をバリバリに出して話しかけてきた。

俺は建物の影から出ると同時に、疑問が出てきた。


なぜ俺の名前を知っているのか?


その答えを得るため目をかっとさして、腰の刀に手をかけて問いかけた。


「おい、なぜ俺の名前を知っている。」


そういうと男は、両手を挙げて、じたばたしながら答えた。


「待て待て答えるから、そういきり立つなよ。お前の名前を知っているのは、あの方の仲間だからだ。あの方は、言わなくて分かるだろう。」


あの方とは、思い出したくもない。

やはり俺が復讐することに対策を立てていたか。


俺が思考に目を送らせていると。

男は、また話し出した。


「あぁーそうだ、多分俺が初めてだと思うから優しく言わせてもらうが、

この先、俺みたいに敵として出てくる。あの方の仲間が沢山いるからな。そう簡単にあの方には、会えないぞ。」


そう言うと男は、ばっと両手を挙げた。

そうすると、どこからか来たカブト虫たちが男を包み込んだ。


カブト虫が消えると、男は兜や、甲冑を装備していた。色は黒く、兜には、カブト虫のような立派な一本の角があった。


俺は、警戒心を高め一層、体に力を入れた。


「てことは、お前は、敵でいいんだな。お前の能力は、召喚系だと思っていたが、まさか増強系だったのか?」


そう言い終わると、腰から抜いた刀を構えた。

剣道を13年間習っていたので、戦闘センスは、ある方だが、本当の刀を使うガチな試合は、したことがないため、緊張は、する。


「いや召喚系でいいぞ。俺のは、特殊でね。」


(能力にも種類があり、大きく分けて

3種類。


1、魔法系(マジカル)

多くの人がこの能力で、体から何か特殊なものを出す。

例えば、俺の業火もそうだ。


2、召喚系(コール)

動物や、虫などを手名付け、戦ったりする。

例えば、今回のカブト虫の男もそうだ。


3、増強系(アップ)

体の一部または、全体の身体機能をあげる。

例えば、体を鉄のように硬くする能力もそれに入る。)


男は言い終わると、兜に着いた角を前にして構え、突進して来た。


突然の突進に、少々びっくりしたが、向かってくる男に対して、火を放った。


ところが驚くことに男は、寸前で体を左側に捻り回避し、突っ込んできた。


あんな寸前で避けるなんて、なかなかの身体能力が無いと出来ない。


驚いて固まっているところを男は、

容赦無く突っ込んできた。

俺は、寸前で回避し、火を放ったがまた避けられた。


どうする?こんなに近いのに火をよけやがった。このままだと、キリがない。なんかいい策は無いか?


打開策を考えながら、相手の突進を

必死にかわしていった。何度か、かすったが、触れて分かった。あの鎧は、かなり硬いと。

このまま刀で切りに行っても、刀にダメージが入るだけだ。


いよいよどうしようもなく答えが出ないまま、相手の攻撃をギリギリでかわして行った。


あっ・・・そうだ!


やっといい案が出た。

その案を実行するために距離をとって構え直した。


少し余裕ができて今まで気づかなかったが、闘いの最中に集まった、

野次や、テレビキャスターがいるのが見えた。


俺は、そんな物には、興味はなく

また戦闘に意識を向け直した。


「火纏村雨」(ひまといむらさめ)

[火炎の技、刀に火を纏わせ、

スピード、攻撃力ともに、上げる技]


技名をいい、刀に火を纏わせ、刀を後ろに引くように、構えた。


「お〜かっこいいね!」


男は、そう言うと突進して来た。

さっきまで散々走っていたのに、まだスピードは、落ちていない。身体能力に驚きつつも俺も刀を後ろに引いたまま相手に向かって、突っ込んだ。


そして男とぶつかる寸前で、


「火の順回転」(フレアドライブ)

[村雨状態で出せる技。刀を前に戻した時の勢いに乗せて、前回転で相手に突進して切る技。]


素早く引いた刀を前に戻し、その勢いで相手に切りかかった。

本来なら弾かれていたのだが、村雨状態で火を纏っている今の刀では、話が違う。


多分あの鎧の弱点は、火だ。

だからずっとよけていたのだろう。


刀が鎧に当たった瞬間、俺の予想通り

鎧ごと切れた。相手を切り裂いた俺は、前回転したまま、後ろに回った。


野次からの黄色い歓声も無視して、刀を鞘に収めると、野次を払いその場を去った。


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