お兄様とお義姉さま
オリバー・アッカーソンは現在20歳で、私の4つ上。
去年の暮れに恋人をつれて結婚すると言って来た。
お相手は公爵家の3番目の令嬢で、綺麗な黒いロングヘアーのふんわり系女子だった。
ゲームの中では恋人は居るが実家に留まり、何かとクロエにアドバイスと言う名の小言を言っていたのだが、実際のオリバーは家を出た。まさかの好感度落ちを防いでくれるお助けキャラが居なくなってしまった! なんて絶望してたら、何てこと無い。ことある事に帰ってきやがった。
心配して損した。
「今度はシーグローヴ家のお茶会だなんて! クロエ! お前すごいな!」
そして、またも義姉と帰ってきたかと思えば「中庭でお茶をしよう!」と半ば強引に私を中庭へと連れてきた。
中庭にある丸テーブルで、兄・私・義姉の3人でお茶とお菓子を囲んでいる絵柄は、端から見たらさぞ絵になるだろう。だって乙女ゲームの正ヒロインにその兄、そして正ヒロインに負けず劣らずの愛らしい義姉なのだから。
「……ジャレット様とセシル様の舞踏会でお会いして、お話して下さったのですが、まさかお茶会に呼んで頂けるとは思いませんでした」
「いや。クロエは可愛いからな。放っておけないだろう」
「シーグローヴ家なんて美形一家のお屋敷に行けるなんてクロエちゃん羨ましいー」
「……お義姉さま。心の声が駄々漏れです」
「だって、私も舞踏会でクリフォード様お見掛けしたくらいしか無いんですもん。当主様と3兄弟が並んだ姿見てみたいー」
世の女性は例えどんなに人種が違えど、まして異世界だろうと、やはりイケメンが好きらしい。
義姉が頬を膨らませながら「いいなー」と言うと兄は「俺が居るだろう?」と言う。仲良しですね。
「お義姉さまはクリフォード様にお会いしたことがあるんですか?」
「ご挨拶したことしか無いけれど」
「そうなんですか。どんな方なんですか?」
「……んー? クリフォード様? そうね、やっぱりシーグローヴ家を継ぐお方だけあってとても聡明ね。あとは、……妹馬鹿かしら」
「妹、馬鹿?」
「お年の離れたエマ様をそれはそれは可愛がっておいでだったわよ。エマ様も可愛らしいし、妹馬鹿になるのも分かるけど」
私もクロエちゃん大好きだもの。
なんて言ってくれるお義姉さまに有難うございます。と返しながら、私は来るべきシーグローヴ家でのお茶会に静かに闘志を燃やすのだった。
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