何も無いという事実と、「何も無い。」と言う事。

 当然、違う事だ。


 考える事はあるだろう。だが、誰かに聞かれてしまう事は無い。

 実際に言ったとして、悲観するほどの影響は無い。


 だが、自身には大きな違いとして表れる。


 生きる目的が明確になって以降、日々の辛さなどは乗り越えられるようになった。心無い言葉を浴びる事も、ケガをする事もあった。しかし、前を向く姿勢は崩れる事が無かった。


 私は兵士であったが、苦痛に耐え続けられる「人」では無い。泣き叫ぶ事もある。楽しくて時間を忘れる事もある。何も考えられず、呆けてしまう事もある。


 だからこそ、の『目的』なのだ。


 実現可能な目的をたてても良い、不可能な目的をたてても良い。

 諦めない目的を、途中で変える事の無い目的を自身で決めることが重要だ。




 何も無い、と感じてしまう事。

 居場所も無い、友もいない、家族すらいない。そう感じる事は多々ある。

 周りが思うほど自身が強くない、と気づいているようで気づかない事と同様に、発言しても気づいてすらいないのだ。

 「それ、誰に聞いたの?」と聞かれると押し黙る者は、少し考えて欲しい。


『一緒に考えてみようか?』と言う時点で対象者からの信頼が無い時、ただの嘲りに聞こえるのだと思っていないか?


 私は思っていた。実際に斬りつけた事もある。心無い行為をしてしまうのは自分なのだ。

 笑顔を向けてくる者は敵兵だとさえ思っていた。



 「何も無い。」と言ってしまう事。

 泣きながら言う者がいた場合、「書き出してみたら?」と言ってあげて欲しい。自身の考えに整理がついていない事も、認めたくない思いが隠れている事もある。


 あなたの名前は? → 名前があるよ。


 こんなバカげた質問ですら、と気づくには足りるのだ。

 遠くを見ている事を気づかせ、一歩ずつ進むという当たり前を教える。


 これは自問でも良い、しかし先に挙げた『目的』で事足りる。座右の銘などで代用する者もいる。

 答えが複数ある、という事実は受け入れがたいかもしれない。

 では、聞いてみよう。


「あなたの過程を聞かせて? 私が聞くから。」




 とても簡単な事なのだ。 

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