第11話 こういうのもいいな

「川中島くんって家は海の方だっけ?」


体験入部が終わり制服に着替えながらトラちゃんが話しかけてきた。

「そうだよ。家の前すぐ海。トラちゃんは山の方だっけ?」

「そう。山までは行かないんだけど、北中学の方だから通学は電車なんだ。川中島くんって学校までどうやって来てるの?」

「駅前のバスターミナルまでバスで来て、学校までは歩きだよ」

「そっか~。ちなみに川中島くんお腹すかない?」

「めっちゃ減ってる!早弁したから、さっきから腹がずっと鳴ってるよ」

「帰りになんか買い食いしない?」

「いいねー。ただ、小遣い前だからあんまり金かかるのヤバイけど」

「僕もあんまりないから、ちょうどいいね。コンビニ寄ってなんか買って駅まで歩きながらたべる?」

「あ、それいいね。そうしよう」


俺とトラちゃんはコンビニでそれぞれ買い物して出てきた。

「トラちゃん何買ったん?」

「アイス。これ好きなんだよね~。6つ入っているんだけど、たまに形が違うのが入ってるんだ…あ、星が1つ入ってた!」

トラちゃんはアイスの封を開けて小さなラッキーに嬉しそうに笑った。


「おー、よかったね。ちなみに俺は…ジャーン、魚肉ソーセージぃ~」

「ぎょぎょ!買い食いで魚肉ソーセージ食べる人初めて見た!」

「俺は家でも結構魚肉ソーセージ食べるよ」

「そっかー、僕も今度買ってみよーっと」

学校帰りに友達と買い食い。

「俺、こういうの憧れてたんだ~」

「川中島くんってコンビニ入った事なかったの?」

トラちゃんがまた天然リアクションをかましてくれた。

「いやいや、そうじゃなくってさ、コンビニ位は俺も入ったことあるし!」

トラちゃんにツッコミながら魚肉ソーセージを一口かじった。

「俺、今までずっと柔道漬けでさ、学校の部活終わったらすぐ家に帰って支度して、また親の運転で道場にって生活でさ…」

「こんな風に学校帰りに友達とダベりながら買い食いって、テレビやマンガの中でしかみたことなくてさ、憧れてたんだよ」

「そっかー、じゃあ、同じ部活入ったら毎日買い食いできるね」

「それ、いいね」

そんな話をしているうちに、駅についたので俺とトラちゃんは今日はそこで別れた。

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僕らはトライを狙ってる 観音寺 和 @kannonji

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