29話
「兄ちゃーん!!早く早く!」
早朝、リンは遅れて来るクロードに手を振って急かす。クロードがやや離れた所から手を挙げ、その後ろから、アーガスがぐったりしながら重い足取りで続く。
ここは王都に程近い関所の、近所に位置する宿屋である。予定より早く辿り着いた三人の様子は、其々だ。
リンは先に受付に行き、後の二人は大分遅れて廏に入る。
リンが珍しく酒も絶って治療に専念していた為、若さも合間って回復が早かったのも有り、予定より五日早く王都へと出立したのだ。アレスに立ち寄り、アリーシャに心配されながらも、リンに急かされ、一行は先を急いだ。
早く王都に着きたいと、月明かりで明るいとは言え夜通し走りたがるのを何とか止めて、仮眠を挟み同行して来たが、もう二人は疲れが溜まって、心無しか以前より少し痩せた気もする。
「もう俺も若くないな……。夜通しは流石にキツい……。」
クロードが馬を柵に入れて溢す。
「若がそれなら、俺はどうなっちゃうって話しですよ。」
アーガスが苦笑いする。早く宿に入って、直ぐ様眠りに付きたい所だ。
一方、此方は元気が有り余っている若者。リンは受付に並んで居た。
丁度、早朝出発する宿泊客とかち合ってしまい、受付を待つ羽目になった。イライラしながら並んでいるリンの視界の端を、覚えのある姿が通り過ぎた。
「あれ?!王子、こんな所で何やって……。」
反射的に振り替えると、アレクシスと同じく黒髪の男性が、二人の大柄な男と共に出口へ向かっている所だった。明らかにアレクシスとは背丈が違う。
第一、こんな所で見掛けるなど、そんな筈は無い。王子殿下は王城へと戻ったのだから。
容姿を視認して、リンは慌てて訂正した。
「あ、人違いでした!すみません。」
男性は振り替えり、リンを見る。
アレクシスよりもぐんと背が高く歳も大分上だろう。何故一瞬でも王子だと思ったのだろう……。リンは思わず、男の顔をしげしげと見つめる。
確かに、黒髪に深い青色の瞳がアレクシスと同じだし、良く見ると心無しか顔も似ている気がする。此方の方が多少釣り目気味で、眼光が鋭いだろうか。恐ろしく美形な事はリンでも分かる。
「……王子?」
男性が首を傾げる。付き添いの二人の男が、リンに向かって来ようとしたが、黒髪の男が手で制した。
「あ、いや。何だろ?俺そんなに人違いとかしないのに。寝惚けてるのかも。本当、すんません!」
黒髪の男は黙って、じっとリンを見詰める。
「その俺に似てる人は王子なの?」
興味があるのか無いのか、無表情な男の問いにリンは慌てた。うっかりとは言え、こんな所で王子と知り合いなどほいほい言うものでは無い。それくらいは分かっているつもりだ。
「王子……いやいや、まさか!聞き間違いじゃないですか?!」
「……ふーん?その人は君の何?」
……随分突っ込んで来る人だな。
リンは目の前の男を警戒する。男は怪訝な顔を向けられていることに、大して気にならないのか相変わらずの無表情だ。
「……。何だろ、俺の主の主……?」
曖昧に答える。まだ王城勤務にはなって居ないし。うん、嘘は言って無い。まあ、この国に生きる民全員がリンの言葉と同じく、そうだとも言えるし。
男はそれを聞いても、ずっとリンから視線を外さない。居心地悪い気分に襲われ、そろそろ受付に退散したくなってくる。
「リン!受付済んだのか?」
廏に続く裏口から、クロードの声が掛かる。リンは天の助けにほっとして、振り向いた。
「クロード兄!ごめん、まだ混んでて!」
二人が入って来るのを確認して、先程の男はへと振り返る。
ほんの一瞬目を離した隙に、アレクシスそっくりの男は忽然と消えていた。
「あれー。」
「何か有った?」
訝しげな眼差しで見るクロードに、ブンブンと首を振る。
「何でも良い、俺はもう眠い!とっとと受付済ませろ!」
アーガスに急かされ、リンは急いで受付へと向き直した。
三人が王都へと辿りついたのは、まだ日が顔を出し切ってもいない早朝だった。早起きの街の人々がそろそろ活動を始める頃。
入る前はあっちこっちキョロキョロと見ていたリンだったが、日除けの完全装備している手前、不振がられない様にと王都に入ってからは大人しいものだった。
クロードが王城の門番と話しているのを、二人は遠巻きに見守る。そうで無くても、第二王子直々に言付けしているとは言え、他の守衛等は早朝に訪ねて来る来訪者を、胡散臭く、そして無礼に思うだろう。ここは、一丁公爵様に堂々として権限を奮って頂かないと。
「あ!ロイー!!やっと来た~!」
門番に伝言して貰い、三人の迎えとして送り出されたのは、どうやらロイ一人の様だった。リンは背丈で遠目からでもロイだとは思っていたが、徐々に近付いて来た姿を見て、違和感が漂う。
「……ロイ?、何が有ったの?!」
「?」
まだ遠いロイの姿を確認して、リンは動揺する。夜目が利く事に加え、リンは視力がすこぶる良い。一方他の二人には、どうしたのかまだ分からない。
ズンズン進んで来るロイをやっと確認出来た途端、二人は一斉に驚きの声を上げた。
「「前髪どうした?!」」
トレードマーク?でもあった、鼻まで掛かる前髪が左下がりに斜めに短く切られ、右目側には眼帯が存在を主張している。どうやら、後ろ髪も少し短く切られている。
背が高くとも、何処か儚げであったロイの印象が、仕立てられた護衛の制服に身を包む姿は、どこぞの大隊を率いてる百戦錬磨の大隊長の様な、見た目だけは荒々しい感じに変貌を遂げていた。
驚きの余り口をあんぐり開けているリンの肩を、ロイは無言のまま両手で思い切り掴んだ。その手には思いのほか、力が込められる。
「……王城勤務怖い……。」
「はぁ??」
ぶるぶる震えるロイに、三人は顔を見合わせた。
城内はまだ人も少く、中庭側の通路には朝陽が燦々と降り注ぐ。
リンは日が差し込まない日陰側へと直ぐに逃げ込み、第二王子の執務室へとロイの案内で一行は向かって居た。
「予想より切られた?」
ロイの説明で、ロバートに眼帯をプレゼントされて喜んで居たところ、有無を言わさず梗塞され、散髪が始まったらしい。梗塞と言っても、ライルが体を押さえていただけなのだが。その力強さといったら……。
しょんぼりするロイに、リンとアーガスは大笑いし、クロードは優しく肩を叩くのだった。
当人の落ち込みは別として、案外似合っているのだが、クロードがどんなに宥めても他の二人の笑いの所為で真実味に欠けるのか、ロイは首を振るばかりだ。
「ロイの大変さは分かった。所で、エレーンは、無事に王城勤務出来るだろうか?」
クロードの言葉にロイは少し考える。
王城入りはほんの三日前であったし、今は身の回りを整えて行くだけで手一杯だ。時折すれ違う人達に遠巻きに見られる程度で、それがロイの見た目によるものか、エレーンに向けられたものなのか判断が付かない。今の所さして問題は無い様に思えた。
「……今の所は大丈夫……だと思う。何か有れば、俺が何とかする。」
クロードは嬉しそうに、ロイの背中を景気良く叩いた。余りの力に咳き込む。其れを見て、またリンとアーガスの二人は大笑いするのだった。
執務室へと通され、エレーンと再会した三人は大いに喜んだ。
「本当に王子って王子なんだー。」
遅れて入室して来たアレクシスを見て、リンはしみじみ噛み締めた。イスベル滞在時はシンプルな服装だったが、登場したアレクシスは華美では無いものの、仕立ての良い絹地の深い青色の上着に銀の装飾釦、右肩に斜めに濃いえんじ色のマントを掛けている。それも座る時には乱暴に外してロバートに投げていたが。一応はクロードを迎える為に付けたが、室内ではとにかく邪魔なのだ。
「リン、失礼だろう?」
クロードが窘めるが、リンはお構い無しだ。部屋のあちこちを興味津々な瞳で見回す。
エレーンがお茶を煎れ、一同は一旦落ち着く。初めて会うライルとの挨拶を簡単に済ました。
「じゃあ、俺はライルの兄貴から仕事を教えて貰うって事ですか?」
ライルの兄貴呼びに、当の本人はいたく気に入った様で、一人大笑いしている。その様子を無視してロバートはこくりと頷いた。
「そうです。どちらかと言うとリン君は王城勤務よりも外での活動が主になるでしょう。勿論、夜中の内にこなす仕事です。ライルは諜報役が長かったので、良い手本になると思いますよ。」
聞いて、リンはパアッと表情が明るくなった。
「良かった~!正直、ロイの様子を見たら俺は絶対王城勤務向いて無いと思ってたんだよねー!!肩凝りそうで!そっちの方が良いや。」
喜ぶリンと対照的に、ロイはしおしおと肩を落として、項垂れた。心の支えに裏切られた様なもの。仕方無いとはいえ、二人の二極化する反応を見て、エレーンはロイの肩をそっと叩いた。
その姿が流石に兄妹だなと、アーガスはつい先程の事を思い出して、一人にんまりする。
エレーンが慰める様子を見て、ライルはと言うと、一人うんうん頷き、一方アレクシスからはほんのり暗い空気が漂う。どうやら、心穏やかに眺めていられるものでも無いらしい。
そんなカオスな雰囲気を意に介さず、ロバートは説明を続けた。
「ですが、みっちり勉強もして貰います。覚える事は山程あるのですから。ですが、今日の所は皆様お疲れでしょう、部屋の用意をしておりますので、ゆっくりと休んで下さい。詳しい事はまた後程。」
「心遣い、ありがとうございます。」
クロードとアーガスと共に執務室を出たリンだったが、二人と一緒に客室へと向かおうとして、ライルに首根っこを引っ張られ兵舎へと連れて行かれた。客室へは、城の従者が案内してくれるということで、疲れきった二人はリンを見送る事も無く、早々と部屋へと向かって行くのだった。
リンを微笑ましく見守るエレーンと、どんよりと曇り空を頭に抱えた様な、重い空気を纏いながらのロイとの二人も、騒ぐリンの少し後ろを兵舎へと付いて行った。
執務室に残された三人。アレクシスとルーカスはどっかりとソファに沈み込む。
「眠い……。後少し寝ても許されるよな?」
そう言って、アレクシスはちらりとロバートを見る。
ロバートはお茶を静かに飲み、優雅な佇まいで首を振る。
「若いのに、なんたる様ですか。せっかくの早起き、朝の剣の稽古に向かわれたらどうです?エルさんとロイ君がちょっと早めに入城したので、それどころでは無かったですし。体も鈍ってるでしょう。」
アレクシスはブンブン首を振る。
「毎日の授業に、剣の稽古もきっちり組まれてるじゃないか。これ以上動かさせて、俺を過労死にでもさせたいのか?」
「坊が過労死するなら、こんな爺はとっくに天国に行って優雅に暮らしてますよ。」
しれっとしてお茶を啜るロバートを他所に、ルーカスは早くも夢の中に旅立ちそうだ。
「ルーカス、しゃんとしなさい。」
ルーカスはしょぼしょぼと瞼を上げる。意識は半分程持っていかれている様だ。
「昨日夜勤だったから、仕方無いでしょー。眠いものは眠い……」
言いながらも、瞼が閉じる。
「ライルも居るから夜勤は必要無いと言っているのに……。自分で選んだ勤務なんですから、文句は言えませんよ。」
「んー……分かってる。一応自分で全部やりたい派なんだよねー。」
「派とは何ですか。ならばきちんと起きなさい。」
二人のやり取りを夢現に、アレクシスはスヤスヤと寝息を立てていた。
これで無事に、王子付きの側近達が王城へと集まった。ロバートはうとうとと眠る二人を眺めながら、静かにお茶を口にした。
王城の外へ併設されている兵舎は、男性と女性で棟が分けられている。兵舎と言っても、女性専用の棟は騎士団の女性騎士も寝食を過ごしているのだが、他は主にメイドや下働きが多く、エレーンは王子付きとあって一人広い部屋を用意されていた。非番であった為に、一人皆と別れ、自室へと戻った。
リンはライルに引っ張られ、ロイとの相部屋に連れて行かれた。そこは簡素なものの、広々とした空間の両端にベッド、その横に収納式簡易机が設置してある。ロイが使っていないと思われる、びしりと整えられたベッドへとリンは思い切り飛び込んだ。ライルはやれやれと、肩を上下させる。
「本来なら、王子付きの臣下には一人一部屋なんだが……。本当に二人一緒で良いのか??今からでも申請出来るが……。」
リンは素早くベッドへと潜り込んで、頭だけひょっこり布団から出した。いつの間にやら服は全て床に脱ぎ散らかされている。
「大丈夫!前も同じ部屋だったし、この方がお互い連絡も早くて良いし!」
ロイもこくりと頷いた。
ライルは頭を掻きながら、そんなもんかね。と呟いた。
「まあ、後からでも変更出来るし、少しはお互いに自立しないと……と、言いたい所でもあるが、今日はもう寝ろ寝ろ!ロイも今日は非番だろ?ゆっくりと休め。」
リンに続いてすっかりと身支度を整えたロイは、もう寝る準備万端だ。ライルは二人の様子を確認した後、大きく腕を上げ伸びをしながら、部屋を後にした。
「何か、レオの旦那を思い出すね。兄貴見てると。」
リンは布団からひょっこり顔を出して、ロイに体を向けた。
隣のベッドへと入ったロイは、暫しリンを見つめた。その冷ややかとも、哀愁とも取れる眼差しに、少しだけたじろぐ。
「……旦那とは偉い違うぞ。明日から覚悟した方が良いよ。」
ボソッと神妙な面持ちで呟いたかと思うと、ロイは直ぐに布団を被って寝る体制に入った。
リンは何の事かは分からなかった。それは後日うんざりするほど体感する羽目になったのだったが、今のリンに知るよしも無い。
そう言えば、宿屋で会った王子そっくりさんは報告した方が良いのだろうか?考えがちらついたが、ロイの寝息に釣られて、そのまま深い眠りに入った。
夕刻、一日の仕事を終えたアレクシスの執務室に、クロードとアーガスが集まった。リンはまだ寝ているのか、ロイと共に姿は無く、ライルとエレーンが待機していた。遅れてルーカスが入室する。
「では、西側の砦に寄ってから、南大陸国境に向かうのですか?危険が伴いますよ。」
ロバートの言葉に、クロードは頷いた。
「一応、見て回るだけです。西の砦には弟がおりますし。南大陸へはウィンチェストどのの元で、途中護衛も何人か待機していて連れて行きますし。あくまでも、お忍び且つ挨拶回りとしてです。奴隷が関わっているとなると、南大陸を無視は出来ない。流れ込むとすれば……。」
「グエル領……でしょうか。」
ロバートはちらりとライルを見る。
「それは、俺もロバート様に言い付けられて、真っ先に向かったんですが、関所に特に変わりは無かったです。寧ろ厳しく審査していて、行商の行列が出来てる程で……。グエル家当主が少し体調を崩しているとの事でしたね。暫く公に顔を出して無い様で、俺もこっそり確認しようかと思ってたのですが、屋敷にも商人の列で流石に奥までは辿り着けず……申し訳ありません。街に面だった変化は見て取れなかったですかね。関所を避けて、西側の砂漠地帯なら、或いは国境越えも出来るかも知れませんけど……。」
「何か気にかかる事でも?」
「いえ、春先ですんで流通が活発なのは当たり前だと思いますが、多すぎるかな?とも……。微妙ですけど。」
「……流通の増減は地方院に確認して貰わなければなりませんね。万が一にも、グエル家が関与しているとしたら、あれだけの人数を用意するとなると、決して安くは無い筈。資金源も気になります。あそこは温暖な気候の農村部と流通を担うとは言え、わざわざ戦を仕掛ける程の潤沢な貯えが有るとは思えない。親族の手前も有りますし…まず、そんな事をせずとも、充分豊かな領地に治まっているのを自分から投げ出す愚かな行為を、あの当主がするとは思え無いのです。」
ロバートは自身の髭をゆっくりと撫で押し黙った。
「東大陸の国が、偽装の為に南大陸から奴隷を買い、イスベルにちょっかい出した……とかだと、余計に厄介ですね。」
クロードは頬を掻いた。
「それだと、イスベル領の上、ハリス領の癒着が考えられますが、やはり資金源ですね。ウェリントン国を手中に納めたいとは言え、そんなに資金を提供してくれる国が有るのか……。東大陸は交易は結んでいるとは言え、国交は少なく、考えは図りかねますが、東大陸の南、群島諸国にそんな資金が有りそうにも無いのですが……。狙いが国なのか殿下一人なのかも分からない現状では、全てが疑わしい。」
「ハリス領が癒着となると、王族にとっての一大不祥事だな。監督不行き届きも良いところだ。」
ロバートの言葉に、アレクシスは忌々しげに吐き捨てた。が、
「……。ハリス領には、兄上が叔父上に挨拶がてら視察に行っているのでは無かったか?」
アレクシスは、俯いていた視線をパッとロバートに移した。
「……確かに、今回は東側の視察でしたね。」
「……兄上は、そろそろ帰城する頃では……。」
「……あの方の事です。予定を変更して既にお戻りになっているやも。」
アレクシスは直ぐに大きな物音を立てて立ち上がった。
「しまった!失念していた!じい、直ぐに身支度を整えてくれ。申し訳無い、クロードどの。話はまた今夜に!暇潰しにルーカスを使ってくれ!」
暇潰しって……。ルーカスの突っ込みも聞かず、アレクシスは執務室を飛び出した。ロバートも続き、退室した。
「……第一王子殿下の元へ行ったのですか?」
クロードがルーカスに向き合う。
「そうですねー、兄殿下はとにかく気紛れ屋なので、こっちも合わせるのが大変で。挨拶行っておかないと、後で嫌味炸裂なんですよ。」
「おいおい、王位継承位一位の御方に、ずいぶんな言い草だな。不敬で首を飛ばされるぞ。」
ライルは冗談めかして、突っ込んだ。ルーカスは少しだけ眉を潜めたが、何でもないように手をひらひらさせた。
「大丈夫だいじょーぶ、冗談の通じる方だよ。正直俺は苦手だから、連れて行かれなくて良かったけど。」
へえ!とライルは意外そうな声を上げた。
「先輩も、苦手な方とか不得手が有るんですね……。」
官僚相手に嬉々として応対するルーカスを、入城して以来毎日見ているのを思い出して、エレーンは心底驚いていた。ライルはライルで苦手らしいが、二人のやり取りに嫌悪感は感じられない。
「あのねエレーンちゃん、俺の事どんな人だと思ってるのー?いっくら完璧超人の俺だって、人間だもん。色々有るよ。」
「自分で完璧超人とか……。」
ライルは相変わらずのルーカス節に呆れる。
アーガスがわくわく顔で、ずいっと身を乗り出した。
「兄ちゃんは一体どんな理由で第一王子が苦手っつーんだ?」
「んー……何か、飄々として何考えてるか読めないし、何処か人を喰った所とか?ペースが崩れるんだよね。」
「…それって同族嫌悪じゃ……。」
アーガスが突っ込んだが、ルーカスはきょとんとするのみだった。
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