詩人の広場 第四回 後編

ではでは詩人の広場第4回後編をお届けします~


帆場蔵人@食蟻獣

次は草月さん推薦のおきらくさんの作品ですね。


おきらく@雨いろプロジェクト •

kakuyomu.jp/works/1177354054885201714/episodes/1177354054886832363 …

にたにたタイムw


草月玲

了解です! 

上でも書きましたが、私の作品をいわば「解読」してくださったこと、本当に感謝の気持ちしか感じません。様々な考えに触れられて、こちらも新鮮な感覚で聴けました!

しづきさん……(笑)



帆場蔵人@食蟻獣

生はにたにた 作・おきらく


生はひとの筵を踏みしめてわらう

わたしの笑みは毎日にたにた淀んでいる

一億人と淀んでいる

笑みを咲かせるってうれしさの一種なのにどうしてかな


にたにた にたにた


にたにたは、一億の自傷行為なのかもって


でも つぎの朝にはひとの筵を蹂躙するんだって わらうしかないかもって


アルコール度数九を呷る まちよい月の夜


おきらく@雨いろプロジェクト

おぉ、にたにたタイムきた!(笑)では私は客席から見守っております!


帆場蔵人@食蟻獣

これ、味わい深い。どんな読みが出るか楽しみ。


小林素顔

わたし最初「筵」と「呷る」が読めなかったんですよ恥ずかしながら。でも調べて分かったら急にイメージが具現化したというか、映像化したというか。


帆場蔵人@食蟻獣

筵、が涎と読み間違えて惨事でした


帆場蔵人@食蟻獣

一応、軽くまとめたんだけど、貼るとくどいかな。ちょい出しでいきます


帆場蔵人@食蟻獣

イメージが具象化…


小林素顔

目の前に現れたんですよ、桜の森が。


帆場蔵人@食蟻獣

人は生きているだけで場所をとる。それに終わらず、他人の人生に関わらずには生き難い。ときに奪い合い、競い合い生きていかなければならない。


花見の場所取りみたいな。?


帆場蔵人@食蟻獣

桜の森、幻想的


小林素顔

一億の笑みを咲かせている桜の森を、筵の上に座って眺めながらアルコールを呷っているすがたが、ありありと。


帆場蔵人@食蟻獣

あ!一億を桜と捉えたんだ。うわぁ、にたにたがすごい絵柄に


小林素顔

直接作品の中で描写されているわけでもないのに、こういうイメージが浮かび上がるのって、どうしてなのか自分でもわからないのですけど、とにかくそういう描写を思い浮かばせるだけの詩的飛躍があった。

帆場蔵人@食蟻獣

筵、酒、とくると桜は浮かぶかな。うん。一億を人口と考えて遍く世間は似たものばかりと思ってました


草月玲

私は初心者なりに、表面から攻めて行こうと思います。まず、「筵」を他人の……なんというかパーソナルスペースとか、その人のアイデンティティのような「抽象的で内面的な概念」として捉えてました。とすると何でしょう? 「にたにた」を通じてまず自分に傷をつけ、次には他人に傷をつける……。ネット空間や脳内における、他人の悪口かなあ(笑) 桜森幻想チック! 是非行きたいです😃


草月玲

ぼくはまったく素敵なビジュアルを想像できなくって……。心が闇(^^;


小林素顔

「一億の自傷行為」に見る「桜が散る」イメージとでも言いましょうか。


小林素顔

そうか筵をアイデンティティととらえることもできるのか!


帆場蔵人@食蟻獣

素顔さん、それはいい!

うわぁ、高橋葉介の絵柄で観たい……

どちらかといえば草月さんよりかな、ぼくも


帆場蔵人@食蟻獣

最後の一文が面白いな、と。


帆場蔵人@食蟻獣

まちよい月の夜


小林素顔

「なのかもって」「ないかもって」という表現に、すでに「達観」の域への到達を見て、それで「世の中の悲しみを客観的な花見としてとらえる」というようなイメージが私の中に想起されたのかも。ものすごく個人的な読みですが。


帆場蔵人@食蟻獣

奪い、奪われ遍く世間はそんなもの、という浪曲みたいな世間を歌って酒を飲むみたいな流れが、まちよい月の夜、の読み方で変わるなぁ、と。


帆場蔵人@食蟻獣

まちよい、は待宵だろうか。或いは待ち酔い。つまり恋人を待っている月の夜、とも読める。しかし、そうすると全体の雰囲気は少し具体性を帯びてくる。奪われたのか、奪ったのか。奪われて自嘲しながら哀れを呷る。そんな詩にも読める。


或いは桜を観ながら世間を思いながら、人を待つような。


帆場蔵人@食蟻獣

かもっ、ていうのをどう読むかですね。達観なんだろうか?


小林素顔

「まちよい月」に「まっても来ないだろう希望」を読み取りましたけれど。「ゴドーを待ちながら」的な。


帆場蔵人@食蟻獣

ゴドーを待ちながら、か。


帆場蔵人@食蟻獣

待宵という焼酎があるが度数が違うので読みから外した。二十八度の酒を呷るおきらくさんという、なかなかに面白い絵だが、関係はないな。


小林素顔

私、たぶん、おきらくさんの意図とは絶対違う読みをしている気がする……。


草月玲

私がずっと気になってた語が一つありまして、文中の「一億人」って、最初全人口の比喩かなーと思ったのですが、そうすると三千万を無視しているのがどうも気になって、それで調べたら日本の未成年って17%(二千万人とちょっと)でした。

つまりはここにでてる一億人は、日本の「お酒が飲める大人たち」ではないのかなって思ってます。それなら、この詩は「大人」と「お酒」を絡めた詩なんでしょうか。少なくとも、無邪気さはあまり感じませんでした。「にたにた」。なんだかホラーな印象で。

さっきからあまり上手くは説明できてないのですが、どうも私には、この詩の主人公は一人じゃなく、「一億人」なんじゃないかと。


自分で書いて何ですが、とてもアマチュアな見方。でもこの観方だと、今の私にはまだすこし早すぎた主題なのかもしれません。


小林素顔

「一億人」が主人公!


帆場蔵人@食蟻獣

おぉ!なるほど。いや、大人というのは面白い読みだ。


草月玲

知恵熱出るんじゃないかってくらいにずっと考えてました😅

じゃあ大人の意図はなんだろうとか……。


帆場蔵人@食蟻獣

いや、主体は大人か大人になろうとしている若者かな。一億の自傷行為である、にたにた、は理解できない大人という存在。ありきたりな発想になるけれど、そのようにも。


大人だとして。難しいな


帆場蔵人@食蟻獣

理解できない、いや、理解しているから、理解しつつあるから自傷だと考える?


小林素顔

「一億人」と「わたし」の対比が、「大人」と「大人でない『わたし』」の相容れなさを表している、のかな……?


小林素顔

「成人」であっても「大人」でない「わたし」が「呷る」アルコール。


帆場蔵人@食蟻獣

自分のことすら社会では曖昧になり個人でなく、総体として一様ににたにたする。その曖昧さに傷ついてゆく、皆が自傷するように。現代への揶揄?自分もそのなかにいる。半歩足を踏み入れている。

まちよい、で待つのはその状況を変える人か自分の決断か。

帆場蔵人@食蟻獣

と、わたしもリアルに酒を呷るw


草月玲

「大人でない」主人公たちが、総体として。何となくですが、紐解けてきたような気がします! 主人公たちが「大人である」というだけでは、なんだかものたりなかったのですが、こう考えると他人の筵に浸蝕する行為とか見えてきます


小林素顔

読み手の価値観があらわになりますねこの詩……!


帆場蔵人@食蟻獣

そろそろ眠りのしづき、が出てきて、名探偵、皆を集めてさぁ、といいw

でも素顔さんの桜の森がおきらくさんの作品的には美しくて似合うんだよね。


帆場蔵人@食蟻獣

うまく描いてないところがありますね。


小林素顔

意識無意識にかかわらず「隠されている」ということですか?


帆場蔵人@食蟻獣

あえて描いてない、というか。この詩の前と後に詩が物語としてあって真ん中を抜き出しているような


小林素顔

なるほど。


帆場蔵人@食蟻獣

奥行きがある。物語詩、というイメージ。ただ観念的なイメージをまたイメージに置き換えているような気もして、、、


帆場蔵人@食蟻獣

まちよい月の夜、から具象的なエピソードが引き出されそうなんだけど。自然に上手い。

さて、23時10分でキリとしましょうか。


小林素顔

そうなると改めて「にたにた」という表現が気になってきますね。時間軸の中で実際に「にたにた」しているのか、主体がイメージの中で想起している「にたにた」にとどまっているのか。


草月玲

イメージ⇒イメージ、それを読み解くのに、私のように訓練がたらないとどうしても唸ってしまうわけでしょうかね。でも深みがあると、余裕があるときに「読んでやる!」って思えます。…ただ、そうですね、やっぱりニタニタとか、最後の文句とかはまだ闇の奥深くにあるような気がしてなりません(笑)!


小林素顔

いやまて、「筵がある実景」がある前提で話しちゃってますね私。


帆場蔵人@食蟻獣

まぁ、それは読み手次第かな。ぼくは全体的に観念的というか、イメージで捉えてたので。読み応えがありますね。

帆場蔵人@食蟻獣

さて、おきらくさんから一言、頂けますか?


おきらく@雨いろプロジェクト

みなさんから深い読みをいただけて、はじめてこの詩が詩になった感じがしました!

さまざまな解釈がとても面白かったです! ありがとうございました!


帆場蔵人@食蟻獣

おぉう、更なる闇のなかに真相が逃げていくw

まぁ、まだまだ読める作品なのですね。いやぁ、面白かった。


小林素顔

的外れだったかしら……。


帆場蔵人@食蟻獣

読み応えのある二作品でしたね。軽くスポーツした気分。大丈夫、楽しむんだw


おきらく@雨いろプロジェクト

詩は読む人の分詩があると思うので、的外れとかは全然ないですよ〜!

帆場蔵人@食蟻獣

実際、詩は読み手が再演するみたいなものだと思うので、その通りだと思いますよ。


草月玲

詩は楽譜で~~とか聞きますものね


小林素顔

ありがとうございます、どうも答えを気にする悪い癖が……。


帆場蔵人@食蟻獣

ボードレェルが詩を難解にしちゃったんだw


帆場蔵人@食蟻獣

と、まぁ、ちょうどいい時間ですね。皆さん、おつかれ様でした!


小林素顔

お疲れさまでした!


おきらく@雨いろプロジェクト

おつかれさまでした!


草月玲

お疲れ様でした




第4回詩人の広場後編をお届けいたしました!お楽しみいただけたでしょうか?

湿原工房さんは寝落ちしていたことが後日確認されました 笑。とりあえず、当初の4名の詩人の自薦他薦の作品感想会を終えましたが今後はまた違う活動が出来たらと考えています。ちょっとこんな事をしてみたいから一緒にやりませんか?ということがありましたらご連絡いただけたら嬉しく思います! ではまた、次の機会にお会いしましょう。

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カクヨム詩人の広場 『現代詩ってなによ?わかんねーけど、 カクヨムで詩を盛り上げようぜ!』 帆場蔵人 @rocaroca

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