第三章 デートへ行きましょう 7
ショッピングモールからの帰り道。
「ふんふんふーん」
彼女の後ろ姿を見ているのは
さっきから、彼女の言葉がぐるぐると頭の中を回っている。
昔、
しかし、その
もしかすると、
……頭が痛くなってくる。
もしそうだとすれば、この数年間は何だったんだ、という話だ。
急に
けれど、そのモヤモヤでさえ口にすることはなく、
一方、
彼女は
もっと気を付けるべきだったのだ。忘れてはならなかった。
言ってしまえば、きっと多少慣れてしまっていたのだろう。何度かそれを
彼女は
たくさんのマイナスの感情を集めてしまい、今まさにその
だからこそ、
だから、前方から自転車が
「っと」
「あぁ、ごめんよ」
直前で自転車に気付き、
しかし、そこで問題が起きた。
はずだった。
「──え」
その声は彼女から
けれど、そうはならない。
彼女は今、〝
……ガードレールに、
手をつこうとして
笑えないのは、転んだ先が車道だったこと。
それに加え、勢い良く突っ込んでくる車がいたこと。
ドライバーからすれば、災難な話だ。信号がない道を走っていたら、歩道から女子高生が
突然車道に投げ出され、
けれど、意味を
「
反射的に地面を
今、
だって
〝ねぇ、あかりちゃん。ぼく、やくそくするよ〟
〝なにを?〟
〝あのね──〟
「──────っ!」
約束。そう、約束だ。難しいことなんて考える必要はない。まだヒーローだったときのように、飛び出していけばいいだけの話だ!
ガードレールを飛び越える。
以前、校門を飛び越えたときのように、つんのめることはなかった。着地すると同時に、
車は目の前に
ガードレールに背中を激しく打ち付ける。
それと同時に、自動車がかなり無理に進路を曲げた。ぐにゃりと
ぶつかっては、ない。
だけど、どうやら助かった、らしい。
「…………………………」
上手く息ができない。運良く
それは、
「──だ、
「う、うん……。生き、てるのよね、わたしたち……」
ふたりして、はーっと大きく息を
まさか、
ドライバーが
身体からようやく力が
すると、彼女はきょとんとした顔を作る。自分の
目線を
「あ、あの、きぃくん……」
「ん?」
「助けてくれたことには、とっても感謝しているんだけど……、その……、ちょ、ちょっと近いかなって……」
言われて、気が付く。
彼女の顔はすっかり赤くなってしまい、
けれど、彼女の
「ご、ごめん。夢中だったもので。えっと、立てる?」
「あ、ありがと……、よ、よいしょ……、あっ」
立ち上がろうとして、
「ご、ごめん……、なんか力入んなくて……、今になって
「いいよいいよ。ほら、
かなり申し訳ないけれど、この場合は仕方がないだろう。彼女も
そこまでしてようやく、
「んぎ……っ」
背中が急激に痛んだ。先ほど、激しく打ち付けたせいだろう。自動車に
「だ、
「い、いや、
本当にそれほど大した痛みではない。安心させるために、笑いながら
「──────」
すると、どうだろうか。
彼女は
その
「ど、どうしたの」
「いや、あの……、うん」
「こんなん……、恋に落ちるっちゅーねん……」
「はは。そりゃ
明らかな
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