¶10

 驚くことに現場は角を曲がった市街地だった。人工物のど真ん中。youteberが失敗したような。

 ああ、確かに。確かに蜂ロボだ。ワーンという気持ち悪い低音が、車の中にも聞こえ、外はモノアイの蜂、蜂、蜂……。等間隔に並んだ街路樹にも、信号機にも、乗り捨てられた車にも、道路にも、ガードレールにも、商店のシャッターにも、蜂ロボが着地して蠢いている。

 飛行する蜂ロボは、空に変容するマンダラ模様を作っている。俺は酔いそうになり、それ以上見ないようにした。前のパトカーから警官は降りてこない。悪いが彼は役に立たないだろう。俺は外に出て、この事態をどうにかしようと、機動隊らしい男に言った。大声でないとノイズに消されてしまう。

 「あの! 警察の!」

 呼ばれた男はやや遅れて振り返り、

 「あなたは……アラン社長⁈ まだ要請は出てないはず」

 と、驚いた。どうやら俺を知っているらしい。

 「ここに来たのは偶然です! 蜂が居なくなったと聞いて、オーナーに会いに行く所でした!これは……信じたくなのですが私たちの蜂ロボです!」

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