これで、
「さて、魔法陣を書き換えるとこうやって無力化できる。」
哲郎が、地面に残った魔法陣を指差す。
そこには光が消えた魔法陣が、ただの落書きのように残っている。
「それはもうわかった。それで、次はどうする?」
頷くジェームズ。
「そして、あれだけの音がなれば当然奴らに通知が行く」
「……ならなぜこんな静かなんだ?」
魔法陣を無力化して数十秒。
いまだ一切の移動をしていないジェームズと哲郎。
だが、辺りは何かが近づいてくる気配もなければ、奴ら特有の心音のような音も聞こえて来ない。
「そう。それを疑問に思っていた。」
腕を組み、考え込む哲郎。
「あれだけ必死に守っていた魔法陣が無力化されたのに、奴が来る気配がない。だからこれからどうするか、悩んでいた。」
「先へ進むしかないんじゃないのか?魔法陣が無力化できたなら、新しいフロアが解放されているんだろ?」
そしてそこにもう一つの魔法陣がある。なら、急いで次へ進むべきではないのかと考えたジェームズ。
「ああ、たしかにそうなんだが、だが、もし……」
哲郎がなにかを言おうとしたその時。
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!
軽い地響きと共にものすごい轟音がした。
「なんだ?何が起きた!?」
立っていられずしゃがみこみ、慌てて周囲を警戒するジェームズ。
「やはり……」
同じくしゃがみこんでいた哲郎が、悔しそうに舌打ちする。
「なんなんだ?オリジナルの攻撃か?」
「いや、これはアーティファクトの攻撃だ」
「アーティファクト!?あの銃か?ということはやったのか?」
あれだけの威力の攻撃だ。いくらあのデカブツとはいえ生きてはいないだろうと胸をなでおろすジェームズ。
だが、
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ‼︎」
今度は空気を揺るがすほどの凄まじい咆哮が、オリジナルの無事を訴えてきた。
「あれはあのアーティファクトの最大威力だ。命中していれば致命傷だろう」
「外したのか?」
「いや、だが、それはあくまでステージ2のやつならという意味だ」
ボソボソと、何か、考えながら独り言のように呟き続ける哲郎。
「なら奴のステージが上がったというのか?この土壇場で?」
そんな都合のいい話があるかと思わず大声で怒鳴ってしまうジェームズ。
「ああ、恐らくは、カルロスかアドルフ、どちらかが食われたんだろう。奴がステージ2になってかなり経つからな。あり得る話だ」
そして、揃った情報から考えられる唯一の結論を淡々と述べだ。
「どちらがって、二人ともリーチだったんだろ?なら」
「そうだ。どちらが死んだ」
「――――っ!?」
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