一人目。

「……ジェームズ?」


「……問題ない」


茂みに隠れている哲郎と、屋根のない建物の壁に隠れているジェームズ。


互いに互いの背中を警戒する形で、目を凝らしてオリジナルの痕跡を探している。


先程話し合いした結果、この近くに魔法陣があり、それを守るようにオリジナルがウロウロしているはず、ということになっていた。


実際、この近くまで来ていたカルロスはやられてしまい、リーチとなっていた。


推測はほぼほぼ当たりと考えていいだろう。


現在アドルフがカルロスを救助に行っている。


アドルフなら状況を見ていい感じに救助してくれるだろう。


ということで、魔法陣を探す二人である。


「こちらで魔法陣を書き換えれば、近くにいるオリジナルへ通知がいく。そしたら間違いなくこちらへ飛んで帰ってくるだろう」

「最悪カルロスを無理救助して、オリジナルの気を引いてもらう、だったか?大丈夫なのか?そんなことして」


あまりに雑な作戦に心配が絶えないジェームズ。


「ああ、大丈夫だ。最悪アーティファクトはアドルフに渡してある。なんとかしてくれるさ」


手をひらひらさせて何も持ってないジェスチャーをする哲郎。


「アドルフに渡したんだな。てっきり哲郎が、持つものと思っていた。」


「ああ、別にだれが持っててもいいんだ。特にあれは引き金を引くだけだしな」


簡単に言う哲郎。


「おっ?救助したみたいだな」


ちょうどその時、アドルフがカルロスを救助した通知を見た哲郎が、指差して腰を上げた。


「ああ、そうだな」


哲郎の指差した先を見たジェームズも、腰を上げて移動を開始した。



今のうちにあわよくば魔法陣を書き換えれればと思い立ったのだ。

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