カルロス再び。
「痛い痛い痛い痛い‼︎」
檻の中でクリッピーにチクチク刺されているカルロスを無言で眺めているのはアドルフ。
哲郎とジェームズは、周囲を索敵中だ。
アドルフのスキルは状況判断に最も適しているため、カルロスを救助するタイミングを任せられたのだ。
一応敵を探すという名目で場を離れている二人だが、アドルフの能力の効果範囲内にはいるので、はっきり言って索敵の意味をなしていない。
つまりは、カルロス救助の巻き添えを喰らわないようにするための散開と言ったところだ。
「痛い‼︎痛い痛い痛いって‼︎」
クリッピーとじゃれ合うカルロス。
さすがに檻の中ではスキルは使えないので、傷を治すことはできない。
HPゲージが赤になっているカルロス。
そのHPも、ガリガリ減っている。
「…………」
だが、
それでも無言で眺めるアドルフ。
「早く‼︎早く助けてくれ‼︎」
目の前に助けがいると言うのに助けてもらえないという、なんとも言えない状況に困惑するカルロスは、
まさか見殺しにする気では?と、必死になって訴えている。
だが、アドルフの能力を使っている状態なのを確認したカルロスが、
「……近くにいるのか?」
そこで何かを察して、声を殺してアドルフに問う。
「ああ……」
頷くアドルフ。
「まあ、だろうな」
いまだに、刺されているのだが、急に何も感じなくなったとばかりに脱力して座り込んでしまうカルロス。
その表情は、なぜか納得したかのようだ。
「どういうことだ?」
カルロスの言っていることの意味がわからず首をかしげるアドルフ。
「だって、近くに魔法陣があったから……」
刺されながらも、表情を暗くするカルロスは、さっき自分がやられた場所を指差して言う。
「あったのか?」
「ああ、あった。」
そこで、何かが決まったとばかりに、カルロスが閉じ込められている檻に手を伸ばすアドルフ。
「……まあ、楽しかったぜ。久々に会えて」
「俺も、楽しかった。また、会えたらいいな……」
ガシャン‼︎
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