第27問 学校のテストと北辰テストは違う?


 学校のテストと北辰テストは違う?


 答え――


 全然違いまぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっす!!


 もう月とすっぽん、神とゴミくらい違うよ。


 夏休み明け。

 夏期講習を乗り越え、高校受験に向けて北辰テスト攻略に本腰を入れていた僕は、しかしその結果が振るわずちょっと荒れていた。もうこうなったらヤケだ、今夜はコーラだ、コーラ出せ!


 だって学校のテストは出題範囲狭いし、問題も先生たちの優しさを感じるけど、北辰テストはもうダメダメ、鬼畜過ぎる!


 特に国語。

 学校のテストはどの文章が出るか分かってるからテスト中にわざわざ読まないけど、北辰テストは対策のしようがない。

 

 僕は文章を読むのが遅いから、ここでタイムロスして問題を解く時間がなくなってしまうのだ。

 

 毎度後半の問題はぐだぐだで、じっくりやれば解けた! と言い訳している始末。


「読むスピードは読むことでしか上げられない」


 って、栗原先生は言うけど、僕はちゃんと成長できてるのか?


 あぁ、これがゲームで、僕のステータスが常に可視化されてるなら分かりやすいのに。


 あ、でも、それだとステータスが下がる瞬間を目撃したら気を病みそうだな。

 自分の性格的にそういうのすごい気にしそうだから、やっぱりステータスの可視化は却下。

 現実に帰還する!


 しかし、上手くいかないなぁ。

 どうして北辰テストは全然伸びないんだろう……。


「う~ん、なんでだろうな。学校の成績は上がってるのに……」


 でも、どうやらその疑問はテントリ講師陣たちも感じていたようだ。

 だからって特効薬があるわけじゃないけど。


 僕は北辰テストの苦手意識を無くすため、普段の勉強+北辰テストの過去問を解きまくった。


 虎穴に入らずんば虎子を得ず!


 できないからと逃げていても始まらない。


「うげっ、あの北辰様の問題や!?」

「またボコボコにされてまうわ~」

「いややわ~ほんまに~」


 と、ビビってしまう心の中の弱気な自分を叩き直すのだ。


 そうしてテントリの先生たち方針もあって北辰テストを解き、解説してもらい、また解き……を繰り返しているうちに、僕は北辰テストに対する特別意識が薄れてきた。


 基本を怠らず。

 分からないところは放置せず。


 当たり前のことだけど、実行するのは難しい。

 だけど、テントリにいるなら大丈夫。

 僕はテントリの先生たちの力を借りて、一歩ずつ進んでいく。


 そしてその甲斐あってか、それとも夏期講習中の成果が表れ始めたのか。


 僕は北辰テストの過去問で、徐々にいい点を取れるようになってきた。


 学校のテストみたいにいい点がとれて嬉しい。


 この点数だと偏差値はどれくらいだろう。何位くらいだろう。


 北辰テストで点を取ることの面白さに目覚めた僕が、その後も成長できたのは言うまでもない。



     * * *



 そして中学3年、11月。

 中学校生活最後のロードレース大会がやってくるのだった――





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