三十一番:混雑
階段を歩くことでさえ、長い年月が
外に出れば
ぼうっとした意識のスメラギ・
体を支えてくれたヤガン・
「なあ、まこ坊。どれくらい事態を
「えっと――」
まず
六月の予算会議で起きた事件も
落ち
そうして
「うーん、まこ坊。ややこしくしとるなぁ」
「え!? ぼ、
「半分はな。まず簡潔にしよか」
建物の陰となる場所に
背後で
「まずは
「なんで!?」
「目当ては能力保有プレートや。ここから先は厳重な
「
「……?」
初めて聞く
おぞましい、気持ちが悪いなど。理性が
「この鬼人ってのは、
「もしかして、角が生えた?」
真琴の答えに、古寺は
鬼の
不安を
「運用や人道的にも問題があり、永久
「はぁ……」
春と言われても、それは真琴がイケブクロシティに来る前の話だ。
なにか大きなことが起きたらしいとは察しているが、いまだ詳しい内容は不明のままである。
しかし今ここで深く首を
「まずこれが一つ目。アイゼン兄弟誘拐事件やな」
「僕はそれを解決したいはずなんですけど」
「そこで二つ目。謎の青年や」
「晴明ですね」
どこか
「そいつは狙いがいくつもあるんやろな。その一つにまこ坊がいた」
「ああ。そういえば僕の母親に
「まずそれは個人の目的。やっこさんは他にも、早坂、夕莉、その他多数に関わってると推測されるんや」
「はぁっ!? なにそれ、多重スパイってこと!?」
兄の名前が出てきたことにより、愛莉が強気な態度で話に
「じゃないと行動の意味不明さが説明できへん。まあ敵か味方かはあとで考えとこか」
「あの
「で、三つ目やな。これが落ち崩れの内部
「聞かれても困っちゃうけど、そうだと思うよ」
手の指を動かして顔を
「
「あ、まさか……」
真琴は那留から
手の平で
けれど重要性を理解し、手に汗がじわりと
「落ち崩れが成り立つ理由は、未回収な能力保有プレートがここにほぼ集まるからや」
「違法……ですよね?」
「グレーゾーンや。
そして
そのための
真琴にしてみれば遠い話のように思えるか、今は身近な
「しかし早坂が
「なにかやばいんですか?」
「討伐鬼隊が動く」
普段の
簡潔な内容だったが、重大な意味を
「落ち崩れが事実上の
「
「まこ坊も言うてたやろ? 違法やって」
短時間とはいえ、那留や福地と関わった。
以前ならばニュース報道での感想を述べるように
人情の方が強く働き、どうにかできないかと
「この三つ目に関しては、簡単や。それを夕莉に渡す」
指し示している内容は理解した。
しかし問題が一つ。
「でも夕莉さんは今どこに?」
「確か晴明っていうのと行動してるはずよ!」
「それは僕も知ってるよ。うーん、せめて目的地がわかればいいけど」
愛莉の言葉に
それに気づかないまま、真琴はうんうんと
「まこ坊は
「ええっ!?」
けらけらと笑われ、真琴は軽くショックを受けた。
「そんなん最後の一つを解けばいいだけや」
「えっと……?」
「謎の青年はもう一人おったやろ」
言われて思い出す。
茨木から見せられた映像の中で、晴明が
全身が真っ黒であるのに、乱れた映像でも
「まっくろさんを探せば」
「まあ……特徴を
古寺がやや
「あ、それじゃあ――」
颯天の方に
振り向けばビルの一部が
そこで特徴的な赤と金、銀と青。さらに探している真っ黒が走っているのを
「あそこだー!?」
「えっ!? じゃあアタシも連れて行きなさいよ!」
「なんで!?」
指差して
「あそこにお兄ちゃんが来るかもしれないから!」
「た、
おそらく遮音達は
その前提で自らの能力保有プレート【
すると
「あれ?」
なんかおかしいな、と思った時にはすでに時
いきなり殴られた茨木がゆっくりと背中から
「ちょっ、誰をやってんのよ!?」
「茨木!? なんでぇえええ!? あ」
すると先ほどの一部が崩落したビルが建ち、窓
「まさか!?」
「
覗見の言葉が途切れる中、真琴は茨木の
「また遮音に攻撃して、敵の
「……ちっ」
殴られた
「攻撃よりも非道な
「そんな
目の前に星が散ることも
「遮音を軽々しく傷つけるな!」
「……わかったよ。ごめん」
「え? あ……僕も殴ってごめん」
まだ真琴の首筋に抱きついたままの愛莉が、意外と強気な彼の一面を見て胸を高鳴らせた。
「愛莉ちゃん!?」
顔を赤らめる少女の耳に、聞き慣れた声が届いた。
それは悲痛な色を宿しており、
「なんで男に抱きついてんの!? てか、どうしてここに!?」
「それはこっちの
奇妙な連結を見せる四人に、実流は
「おい、テメェ!
「な、なんの話ですか!? 大体、こっちは別の話で……」
「愛莉ちゃんが可愛くねぇって言うのか!?」
「可愛いと思いますが、今はそうじゃなくて……」
「よし、敵
「やめなさいよ、
真琴へ殴りかかろうとした兄を、逆に
間に挟まれた真琴は思わず茨木から手を
「もう! お兄ちゃんとかはアタシに任せて、そっちは友達助けに行きなさい!」
「あ、ありがとう、愛莉ちゃん!」
そして真琴が走り出そうとした矢先、頭上で金属音が
見上げれば覗見が暗器を手に、晴明と戦っていた。
「実流は覗見達を止めて!」
「はぁ!? なんで俺が……」
「お願い!」
「……貸しだからな!」
そして真琴はまたもや一部崩落したビルへと走り出す。
夕焼けは夜
街の明かりがぽつぽつと
誠の友情は真実の愛より難しい 文丸くじら @kujiramaru000
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