第10話 今回で最終回…………え?うそ!?

「えっとですねここはこうで………あ!おーい!蓮くーん!」

「なんだよお前ライトノベルのメインヒロインかよ、可愛いなおい」

「えっえっ!?にゃ、にゃにを言ってるの?蓮きゅんは………」

いや噛みすぎだろ……何をそんなに動揺することがあったよ?

「お前たち何してんの?」

「あ、蓮太君来ていたのね?」

「小岩井先輩?先輩がなぜここに?」

「話せば長くはならないだろうから、尺稼ぎはせずに、今ここですべてを語るわね?」

「は、はあ?」

面倒くさいこの言い回しも、今回出番の少なかった先輩の特徴なんだよなと思いながら俺は、先輩の話の一部始終を聞くことにした。

「………とまあ、こういうことよ」

「すみません、どういうことですか?」

「今説明したじゃない、あなたの脳はそれ位も記憶できないほどほかの何か詰まっているのかしら?………私のことでしょう?私のいやらしいところを想像しまくって、脳がショートしてしまったのね?」

「全く違う上に、あえて言い返すとするなら、あんた途書きが終わってから何もしゃべってないからな!?」

「小さなことを気にしているとあれも小さくなるわよ?まぁ、ナニとは言わないけれど」

「はいはい……いいから理由を話してください」

「と、言いながら確認はきちんとするのね?」

無意識に股間を触ってしまっていたらしく、先輩は俺のほうを見てニヤッとしてやったりという笑顔を向けた。

「そのね?私もこの部に入る事にしたの」

「先輩が?」

途中で展開が読めていたとは言わないほうがいいだろうな……。

「ここ作画担当いないんでしょう?私一応アニメーションを作る作業はしたことがあるから、してあげてもいいわよ?」

「せ、先輩が作画を!?」

この展開は読めなかった………ビルス様の近くにいる予言魚でも予想つかなかったんじゃないかな?

そして先輩は俺の腕をつかみ言った。

「これからよろしくね?プロデューサー兼声優の九条蓮太君」

「先輩……もちろんですよ!俺の方こそこれからよろしくお願いします!」

「ええ、イロイロとよろしくお願いするわね」

なんだか心の底からわくわくが止まらない!

今すぐにこの気持ちを形にしたい気分だ!

「翠!」

「はーい!」

俺の無茶ぶりや、提案の一切を否定することなく、飲んでくれた翠……俺はこいつに返しても返しきれない借りがある……それでも見返りを求めず俺のそばにいてくれる…大好きな親友だ。

「宮崎!」

「なによ?」

こいつは幼稚園のころからの付き合いとはいえ、いつも馬鹿やるのが当たり前となっていた。

俺は今こいつがいなかったらここにいないしと思う。

「えっと…………………………………ぁ、桃花!」

「今完全に忘れてましたよね!?」

「………」

「無視!?」

桃花はいつもひどい扱いしてると思う………めんご。

「小岩井先輩!」

「ベッドはまだ早いわよ?」

「誘ってません」

小岩井先輩は俺が何かに興味を出すとすぐに一緒に没頭してくれて、何もかもを本気でしてくれた。

おかげで、さびしいと思うことはなかったし、今まで何かと楽しくやってこれた。

この世で一番尊敬している先輩だ。

あとここにはいないけど、妹の言葉。

お兄ちゃん、お兄ちゃんといつも懐いていてくれて、俺の精神面を常に支えてくれた。

誕生日も言葉だけはちゃんと祝ってくれたし、中学の卒業式も言葉は最前列で、俺を見ていてくれて一番泣いてくれた。(てか、流石に卒業式くらいは覚えとけよ母さん)

世界で一番大好きだからな?言葉。

……………本人にこないだ言ったら監禁されそうになったけど。

「みんな!絶対神アニメ創ろうぜ!」

「「「「おーーー!!」」」」

「俺わくわくしてるよ!このメンバーで一体どんなアニメができるのか………今から楽しみだ!」

「私もだよ蓮君!絶対神作生み出そうね!皆が思いかけず手に取る作品を……」

「それは違うわ南沢さん!」

「え?」

「思いかけず……じゃなくて、ぜったいに手しちゃう作品を作るのよ!」

お?宮崎にしてはいいこと言った。

そんな風に思っていると、宮崎は手に持っていた筒状に丸めたホームルームで配られたプリントを空へと掲げてこう宣言した。

「この調子で部室をゲットするわよ!」

「まだ部室なかったんかい!!」

「二章でゲットするはずだったのに、余計なところで足踏みしたせいでこうなっちゃったのよ!仕方ないじゃない!私だって役に立とうと頑張ったのよ?校長に頭を下げて、そのうえ靴を………」

「ま、まさかお前!!」

「舐めさせてあげたのよ?」

「普通逆じゃないの?」

「さあね、でもこれをうまく使えば部室をゲットできそうじゃない?」

つまり宮崎はこのネタで校長先生を脅して、部室を差し出させる………という作戦を実行させるつもりらしい。

普通の人であればこんな事しないだろう、だが、生憎のこと俺と宮崎を含めたメンバー全員が普通じゃない。

目的の為には手段を選ぶことはないし、先生を脅して部室を奪い取るなんてこと、答えの公開された解答用紙とおなじ!

なぞはすべて解けたし、なんなら小さい眼鏡の名探偵なしでエンドロールに持っていくまである。

「…………」

「どうしたの?蓮君」

「いやなんでもない」

俺は絶対に歩むこの足を止めることはしない、一緒にいてくれる仲間がいる限り、俺は進化していくぞ!

とかなんとか意気込んでいると俺のスマホが鳴り、非通知からの着信を知らせた。

「あ、ちょっと待って……もしもし……え?」

「蓮君どうしたの?皆行っちゃったよ?」

「え、あ……いやその………」

「?誰からか電話?」

「う」

「う?」

「う……」

俺は手を震わせながら、口にするのも恐ろしい存在を口にする。

「運営がお怒りだ………」

「ええ!?それってやばいの?」

「ぶっちゃけかなり調子乗ってたからな……覚悟はしていたんだが……」

覚悟はしていたものの、いざこういう場面に直面してしまうと、流石にきついな。

どうする?俺たちの存在自体なかったことにして逃げるか?

いや、それだとみんなに合わせる顔がない……。

謝って許してもらうか?

許してもらえるのかどうか分かんねえ………。

殴り込みに行くか?

返り討ちに合う未来が見えちまってるなぁ………。

「うーーーん………どうすっかな?」

「私は蓮君の考えに従うよ?」

「翠………」

俺はバカか?どこに悩む必要があった!

俺には仲間がいる!それこそ運命を共にしてくれるような素晴らしき仲間が!

「ふふふ………ははははははははは!!」

「蓮君!?」

「ごめんな?弱気だったよ……こういう時にとる行動はひとつしかないよな!」

「………どこまでも付き合うよ?」

「頼む」

俺達はその場から急いで逃げ去った。

                                つづく……?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

素晴らしきかな高校生活!~やりたいようにやってしまえ……~ 愛妹魅唯 @taku11524731

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ