多忙

竹下と中沢は証拠を押収し、大量のダンボールを押し運んでいた。

「はい、通りまーす。」

「避けていただけると幸いです。」


廊下にガラガラと音が響く。


そこに馬場が来た。


「おう、竹下、中沢。

なんか呼ばれてっぞ。俺もだけど。」

「はあ、なぜでしょうか?」

馬場はwhat?と言わんばかりに肩をすくめた。



「またこれは……たくさん持ってきましたね……」

散乱し、人がまばらな鑑識。

米村が対応した。


「この箱の中にバッグやらカバンやらが入っているです。

米村さん、これの購入者って特定できますでしょうか?」

「竹下さん、バッグとカバンって何が違うのでしょうか……?」


「お願いできますか?」

「今人が足りないんですよねー。」


「お願い、できますか?」

「今、本当に人手がなくて。」


「お願い、できませんでしょうか?」


「はいはい、やりますよ!」

米村に仕事を押し付け、竹下は少し微笑んだ。


「じゃ、竹下さん。要件とやらを済ましてきましょうか。」

「ですね。」

二人が鑑識から出ると馬場が待っていた。


「あのな、噂だが。要件っていつものパターンだとよ。」

馬場がヒソヒソと話した。

「いつものパターン?」

「あれですよ。どうせ捜査権停止とかなんとかでしょう?」

竹下は首を振った。


「いえいえ、ならば馬場さんは呼ばれますでしょうか?」

「…………………確かに、そうかもしれません。」

「なら大丈夫なんじゃねえか?そんなに案ずるなって。」

「なら……いいのですが。」


そう言い3人は総監室に向かった。

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